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第10話、秘密の時間

元の世界にまた戻ると筑矢は最近毎朝SNSを見るのが日課になっていて今朝もまた同じように見ていた。


すると見知らぬアカウントからメッセージが届いていた。


見知らぬ人「配信やってるツミツミさんですよね?」


筑矢「そうですけど何か用ですか?」


見知らぬ人「樹里です。先日はすいませんでした。がっかりされるようなことをしてしまいとても後悔してます。」


筑矢「いやちょっと事務所にバレたらまずいんじゃ?」


樹里「大丈夫です。アイドル用のアカウントじゃないので。」


筑矢「いやでもやっぱダメだって。」


樹里「もういいんです。2年前からアイドル始めてもうやるだけやって後悔ないですよ。」


筑矢「そうなんだ。次やりたいことは決まってるの?」


樹里「まだですけどこれから考えます。」


筑矢「そっか。いい方向に行くように心から祈ってるよ。」


樹里「あのーもし良ければメッセージ続けてもらえませんか?」


筑矢「え?俺に何を求めてるの?」


樹里「私がまた間違えないように見ててほしいんです。それとも私のようなパパ活するような女の子はダメですか?」


筑矢「うーん、、、分かったから自分を下げること言うのやめなよ。」


こうして樹里とのメッセージのやりとりが始まりそれは毎日続いた。そして次第に友達のように親しくなっていった。


樹里「ツミツミさんってホントカッコいいですよね。容姿もそうだけど性格も!」


筑矢「別にカッコよくなんてないし必死にカッコよく見せようと頑張ってるだけだよ。」


樹里「あー分かりますよ!私もアイドルやってるときは普段は自信ないのにステージの上では私は可愛いって自己暗示をかけるんです。」


筑矢「何でも気持ち次第で良く見せることができるのかもね。会社の先輩も社長の首ネクタイで絞めた話とか不倫した話とか自信満々にマイナスな話してたけど、ニコニコして明るく堂々と話してるだけで何か自信に満ち溢れたすごい人に見えてしまったしね。」


樹里「えー!その人超やばいですね!ツミツミさんって話も面白いですよねー。今度デートしたいなー。」


筑矢「いやいや樹里さんには俺なんかよりいい人いるって。」


樹里「あーそういうこと言われると逆に本気で誘いたくなる!明日お昼食べに行きましょー!」


筑矢「いやだからそのアイドル活動に支障が出るんじゃ?」


樹里「ツミツミさんのためならアイドルやめてもいいもーん。デート決定だからねー。」


筑矢「分かったよ。1回だけだからね。」


筑矢は恋愛経験はそれなりにある方だった。高校3年の春にアルバイト先で知り合った2歳下の女子と付き合った時は高校卒業間近で別れることとなった。週1回ペースでデートしていたが毎日会いたいだの言われ嫌気がさした筑矢は彼女に最終的に別れを告げた。


そして社会人になってから2年ほど経った頃、今度はオンラインゲームで知り合った4歳上の人妻女性と不倫まで経験する筑矢だった。最初は仕事のストレス発散程度に食事だけするつもりだったが、何度も付き合ってほしいと言われて押しに負けて付き合うこととなった。最終的に1年ほど交際したが、こんだけ私を好きにさせて責任とって結婚しろなどとしつこく言われ嫌気がさし別れを告げることとなった。


そんな経験をしてきた筑矢は年下にも年上にもうんざりして恋愛に対して非常に冷めた感情になっていった。


ではなぜたまたま配信で見つけたアイドルを応援したいと思ったのだろう。筑矢は中学2年の頃アニメにハマっていた。アニメの中の登場人物などの台詞に心打たれ声優の仕事をしたいと夢見るようになったが、安定した仕事の方が良いと家族に反対され夢を諦めることとなった。そのため夢がある人を必要以上に応援したいという気持ちになっていた。


そして迎えたデート当日、、、


樹里「ツミツミさーん!待たせちゃいました?」


筑矢「いや俺もさっき来たばかりだから大丈夫。」


樹里「じゃあ早速行きましょー!可愛いメイドカフェがあるのでそこでいいですか?」


筑矢「うん構わないよ。」


そしてメイドカフェに着いて中に入ると壁全体がピンク色になっていて可愛らしい丸文字で看板にお店の名前が出ていた。


樹里「ツミツミさん何食べますー?私はネコちゃんオムライスで!」


筑矢「じゃあ同じのでいいよ。」


注文してしばらくするとメイドさんが注文したオムライスを持ってきた。


樹里「ツミツミさん見てー!ケチャップでネコちゃんの絵が描いてあるの可愛いと思いません?」


筑矢「うんケチャップでこんな絵が上手いのはすごいわ。」


樹里「私ネコ好きなんですよー!ネコ可愛くないですか?」


筑矢「俺も好きだよ。家では飼ったことないけど友達の家でよくネコと遊んでたな。」


樹里「いいですねー!今度私の家のネコちゃんに会いに来ませんか?」


筑矢「やたら男家に入れるの良くないって。」


樹里「へーえ真面目なんですねー。」


筑矢「いや普通だし。」


樹里「もー!普通ならアイドルの家なら喜んでついてくるでしょー!」


筑矢「世の中悪意がある人もいるからあんま人を信用しちゃダメだよ。」


樹里「ツミツミさんはそんな人じゃないもーん!」


そんなこんなで食事が終わりその後は駅で少し会話をしてデートは終わった。


樹里「今日はありがとー。良かったら本当の名前知りたいなー。」


筑矢「筑矢だよ。」


樹里「私筑矢好きー。アイドル辞めたら彼氏になってほしー。」


筑矢「だから簡単にそんなこと言わない方がいいって。」


こうしてアイドルのファンがアイドルに追われるという奇妙な関係が始まろうとしていた。


つづく



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