【番外編①】王女様にも休みは必要です
オリビアの話しをまとめると、『王女が働き過ぎている』と言うことだった。それを表やグラフに表しながら細かく説明された。そこで、王女は初めて自分がしばらく休んでいなかったことに気が付いたのだった。
「・・・ なので、アティーには休みが必要なのでは無いかと思います。」
そう言って、オリビアの話しは締め括られた。
「そこでだ、今度、森へ視察に行く予定があっただろう?それをヴィアにゆづってはくれまいか。」
ヴィアと言うのは、王女の妹であるヴィクトリアのことだ。彼女は第二王女で、第一王女の2歳ほどしたである。彼女はまだ、本格的な公務は行っておらず、最近は母の仕事を手伝っている。
「そうですね。ヴィアもそろそろ独り立ちをしなければなりませんし、私もお休みが欲しいです。なので、是非そうさせて頂きます。」
「あら、あなたのことだから断ると思っていたわ。珍しいこともあるのね。」
「そんなに驚くことですか?私だって久しぶりに遊びたいのです。」
実は、王女には前からやりたいことがあったのだ。これは、オリビアにも話したことはない。
「どこか行きたいところなどはあるか?もちろん、ここにいるのでもいいが。」
「実は私、前から行きたいところがありましたの。」
今度はオリビアが驚いた顔をする。
「なんで話してくれなかったの?言ってくれれば協力したのに・・・。」
そういわれてもどうしようもないことだったので、王女は返事をする代わりに優しく笑った。
「私、この城に下界で禁断の書と呼ばれる本があると知っていますの。だから、その絵のところへ行きたいと思いましたの。許可を頂けるでしょうか?」
そう、王女は数か月前、王妃の絵を見たときにその存在に気が付いたのだ。けれど、同時に簡単には見つからないことも分かったので、特に反応をせずにいたのだった。
「それが危険だということは分かったうえでの発言なのであれば、私は許可をしよう。ただし、分かっていないのであれば行かせることは出来ない。」
「はい。分かっております。」
「わたくしは反対です。いくらアティーが強いからと言って、行かせることは出来ません。あの絵は特別です。もし何かあった場合、わたくしはあなたよりも絵の修復を優先しなければなりません。」
そう言って、王妃は王女の目をまっすぐと見た。王妃の目に、美しく、鋭いレモン色がにじむ。
しばらくお互いに見つめ合った後・・・
「どうしてもと言うのであれば、わたくしの手からこの本を奪ってみなさいな。それが出来たのならあなたにこの本はあげましょう。」
「では、始め!!」
そう言って王妃は、その場からいなくなった。