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ゲーム開始?

とうとうゲームが始まります?

始まらないかも?

少しずつキャラが増えてきます。

活躍させてあげられるといいな。

私を悪役令嬢にさせない為にヒロインの父と結婚したという話を聞いて、絶対に悪役令嬢にならないと誓ってから十年が経った。


今日は王立学園の入学式。

とうとう『花恋』が始まる。


だけどゲームとは違う部分がたくさんある。


ボンキュボンでセクシーな、顔付きもどちらかといえばキツめ美人なお母様の子には変わりないので、成長とともに悪役令嬢らしい見た目になってしまうのでは?と思っていた頃もあった。


しかし私は相変わらずヒロイン顔で美人というよりは可愛らしい顔つきだ。

それに身体も小さめでちんちくりんと言われることもある。

お母様に似たのはふわふわの癖っ毛とちょっと大きめのお胸だけ。

そこだけ遺伝したのは嬉しいやら悲しいやらである。

ちなみにお兄様曰く、中身も悪役令嬢とは言えない残念さだそうな。

くうっ、解せぬ。


それからゲームのエリザベスは王太子の婚約者だったが、私はもちろん違う。

お母様が王妃様と仲が良いので、いっときは婚約者候補に名前が上がってしまい焦った。

しかしそこはお母様の努力の甲斐あって話が立ち消えた。

本当に一安心だ。


けれどゲームと変わらないこともある。


昨日お父様に聞いた情報では、ヒロインと同じ名前の女の子も今日学園に入学するらしい。

「どんな子なのかワクワクするわ〜」とお母様が言っていた。

私は正直会いたくも関わりたくもない。

だって関わったらゲームのように断罪されてしまうかもしれないのだから。

悪役令嬢にならないと誓ったんだもの、なるべく避けたい。


ぽへ〜っとそんなことを考えながら、入学式が行われるホールの前で立っていると、後ろから声をかけられた。


「おい!ちんちくりん邪魔だぞ」


聞き慣れた声にムッして頬を膨らませ、振り返る。

すると鈴のなるような声が聞こえた。


「お兄様っ!なんてことを言うのですか!エリザベス様に失礼ですわっ!」

「リーゼロッテ、ラインハルト」


名前を呼ぶとリーゼロッテは「はいっ!」と嬉しそうに顔を綻ばせた。


私をちんちくりんと言ったのはエラムルス公爵家の令息ラインハルトである。

そして鈴のような可愛い声の女の子はラインハルトの双子の妹、リーゼロッテだ。


年頃の子供達のお茶会で知り合ってから、同じ公爵家ということもあり二人と仲良くなった。

お兄様も含め、よく一緒に遊んでいた。


「まったく!素直に会えてうれしーーー「入り口でぼーっと突っ立ってるから邪魔だと言っただけだ!」


ラインハルトはリーゼロッテの言葉を遮って怒鳴ると、顔を赤くしながら通り過ぎていく。

え、怖っ。

すごく怒っている…。


「もう!お兄様は本当に口が悪いんだから照れ隠しだとしても酷すぎますわ!」


リーゼロッテはラインハルトを睨みつけて言った。

ラインハルトはいつも私には悪態しかつかないし、怒ってばかりで怖いのよね。

まぁ、でも今のは私がぼーっと突っ立ってたのが良くなかった。


「私が入口で立ち止まっていたのがいけないんだもの。でもありがとうリーゼロッテ」


そう声をかけるとリーゼロッテはえへへと嬉しそうに微笑み、一緒に行きましょうと私の手を引いた。

ふふ、可愛い。

姉妹がいたらこんな感じなのかしら?

リーゼロッテと楽しく歩いているとふと視線を感じた。

視線の先を見ると王太子と目が合った。

ひいっと声にならない悲鳴をあげて顔が引き攣ってしまったが、目が合ってしまったのでニコリ…とぎこちなく笑っておく。

すると王太子が嬉しそうに破顔した。

いやー!やめて!!

リーゼロッテも私の様子に気が付き、一瞬王太子を睨みつけるがすぐに淑女の微笑みを向けた。

毒舌を吐きながら。


「あのポンコツ王太子殿下はまだエリザベス様を諦めてくださらないのね。早く見た目に騙されたバカなご令嬢と婚約なさればよろしいのに」


ひくっと私の笑顔はさらに引き攣った。

そう。リーゼロッテは間違いなくあの兄の妹なのである。

そしてリーゼロッテの方がかなり毒が強い。


「リーゼロッテ、言葉が過ぎるわ」

「そうでしょうか?これでもとーーーっても優しく言っておりますのよ!」


王太子とも同じ年頃の子供たちのお茶会で出会った。


私は悪役令嬢になりたく無いからという理由もあったが、なんだか生理的に王太子殿下が苦手だったのでいつも避けていた。

お母様が王妃様と仲が良く、個人的なお茶会で会って仕方なく遊んだこともあるが、基本は関わらないよう最善を尽くしてきた。

お母様も私を悪役令嬢にさせ無いようにと行動していたので、婚約者候補にあがりそうになるたびに回避するべく手を回してくださった。


「エリザベス様っ、まいりましょう!」


王太子殿下がこちらにくる前にとリーゼロッテが引っ張ってくれる。


ある時、私が王太子殿下を苦手としていることに気がついたリーゼロッテは、それから私が王太子殿下と関わらずに済むよう動いてくれるようになった。

本当にありがたい。



そして始まった入学式では特段ゲームの始まりを彷彿とさせるような出来事はなかったのでホッとした。


このままゲームが始まらなければいいと思っていたが、現実はそうもいかなかった。


クラスで行われた自己紹介でヒロインをみつけてしまった。


ただ……見た目がヒロインな私に反して、ヒロインは悪役令嬢そのものだった。

ストレートの濃い赤髪に黒の吊り目、身長も割と高めでナイスバディだった。

そして家名は本来お母様が嫁ぐはずだったダイアンサスだった。


カーラ・ダイアンサス。

彼女の自己紹介は元々庶民だったので、貴族的な礼儀作法に疎い部分があるから色々と教えてほしいというようなものだった。

やはりゲーム通り貴族になったばかりのようだ。


そして私が自己紹介をするとカーラは、黒曜石のような目玉が飛び出ちゃうんじゃ無いかというくらいに驚いた顔をしていた。


私はその表情で気が付いてしまった。

あぁ、彼女も転生者なのだと。

お読みくださりありがとうございます。


次話からヒロイン?も活躍します!

お楽しみに(^^)

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