悪徳令嬢って私の事?1話
格式高い家柄の一人娘メリッサは、知り合いの誕生会に行ったが、頭に来てすぐに帰って来てしまった。
屋敷に帰ってからも不機嫌な様子のメリッサ・・・執事は機嫌を伺うが、手当たり次第に周りの物を投げ付ける。
執事「お嬢様!おやめください。一体何があったと言うんです!どうか話して下さいませんか!」
メリッサ「あぁ~っ!頭に来る!」
と言って、メリッサはガラスのスタンドランプを掴み上げた。
執事「おっお嬢様!そのランプは旦那様のお気に入り!乱暴な事は止めて落ち着いて!」
メリッサは、執事の言葉などお構い無しにランプをおもいっきり床に叩き付けた!
「ガッシャーン!」
執事「あぁ・・何て事を・旦那様がこれを見たら・・・」
壊れたランプの破片を悲しげに拾い集める執事・・・
メリッサ「あーっ!スッキリした。そのランプは、あなたの不注意で壊れた事にしといてね」
執事「・・・お嬢様・・一体何があったんです・・お話を聞かせてください・・」
メリッサはスッキリした顔で長椅子に腰掛けると破片を拾う執事に笑顔を見せた。
メリッサ「私は、招待されたから行ったのよ。なのにあの女ったら、何しに来たの?って顔で私を見て『これは、これは、名家のお嬢様に私の誕生日を祝って貰えるなんて嬉しい限りですわ』って言ったのよ。頭に来るでしょ!」
執事「なぜ頭に来るんです?」
メリッサ「来るわよ!あの女は、私に来て欲しく無かったの!私の顔を見るのも嫌だったに違いないわ!」
執事「なぜ、そんな風に思うのです。お嬢様に来て欲しく無かったら招待してないでしょう。お嬢様の考え違いなのでは?」
メリッサ「いいえ違わないわ!あの女の目を見れば分かる!」
執事「お嬢様・・それは、お嬢様の勝手な思い込みで、お嬢様自身が行きたく無かったのでは?」
メリッサ「私?私は行きたくないに決まってるでしょ!呼ばれたから仕方なく行ってあげたのよ!」
執事「無理して行くから変に勘違いするのです。誕生日プレゼントは何をお持ちになりました?」
メリッサ「プレゼントですって!私があんな女にプレゼントを渡すもんですか!行ってあげただけでも喜ぶべきなのよ!」
執事「お嬢様・・・」
メリッサ「そもそもあの女!40歳で独身の女がよ、大勢の人を招いて誕生日を祝って貰おうなんて私には気が知れないわ!少人数で食事会でもするのならともかく、友人、知人、家族や親戚まで集めて結婚式じゃ無いんだから!」
執事「まぁまぁ、そこは御本人様の自由で良いではないですか。」
メリッサ「良くない!派手なドレスを着て満面の笑顔で私に近付いて来たのよ!40で独身の女がよ!痛々しい!」
執事「お嬢様!そう言う考えは宜しくないですよ!多くの方の反感を呼びます」
メリッサ「あの女だけは特別!高慢で嫌みな女!私が名家の家柄なのは皆が知っている事よ!それをワザワザ私に言ったのよ!あの女は、笑顔で私に喧嘩を吹っ掛けて来たの!」
執事「お嬢様、なぜそう思うんです・・・家柄の事は、いつもお嬢様がご自分からおっしゃっている事じゃないですか・・・」
メリッサ「人に言われるのは、嫌なの!」
メリッサが再び苛立ち始めたのを察した執事は、メイドに紅茶を持って来る様に指示した・・・
執事「いいか!お嬢様のお気に入りのカップに入れて来るんだぞ」
メイド「はい、承知しました。」