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05-16.格闘王、イサに入る

岡崎チヒロとボルハンのロトムが率いる500人の軍勢は、魔獣との戦いによる死傷者を数名出したものの、ギスリム国王の計略通りにディール山脈を北側に抜け、隣接するダール森林地帯を北上していた。

ダールの森の身を潜めつつ進めば、あとは都市国家イサへとなだれ込める。


イサは城塞都市ではないため、破城鎚などで城門を破壊するような必要はない。バルゴサの軍勢はイサより南のどこかの地点に大本営を築き、そこに武将たちが陣取って指揮を執っているはずだった。

先端が切り開かれる前から、イサにはトラホルン側の間者を潜ませてあり、ギスリム国王の下に情報が伝達されていた。

往年であればアガシャー王当人が陣頭指揮を執ったところであろうが、親征という形をとりながらも本人はイサの街で安逸な日々を送っているものと思われた。


ダール森林地帯でも魔獣と遭遇したが、戦闘になることは無くこちらの頭数の多さに逃げ出すようなものだけだった。

およそ500人の戦士たちの士気はいずれも高い。岡崎は休憩時にはロトムと交代で兵たちに声をかけて回った。

王の婿となる戦士たちと共に大きな武功を打ち立てるのだと、むしろ気持ちがはやっているようにさえ思われた。


「もうすぐ森を抜けるようだ! イサの内部まで一気になだれ込むぞっ!」

ボルハンのロトムが後続の戦士たちにむかって叫び、戦士たちはそれを次々に後ろへと伝達した。

「イサの一般市民たちに危害は加えるな! 略奪も禁止だ! 我々の狙いはアガシャー王の首級を上げることだ!」

岡崎が後ろに向かって怒鳴り、戦士たちはまたそれを後ろに伝達した。


やがて、木々の隙間から平原が見え、森が開けると目の前に都市国家イサが見えてきた。

都市国家とは言うが、岡崎がイメージしていたようなものよりは随分とこじんまりしていて、町、という感じの概容ではあったが。

「突撃ぃいいいいっ!」

岡崎が叫び、戦士たちがそれに続いた。


およそ500人の戦士たちは雪崩のように都市に襲い掛かった。

街の正門を守っていた兵士たちは震え上がり、抵抗を試みようともしなかった。

厚い木できた扉が左右から閉じられて正門の入り口をふさいでいたが、岡崎らは両手持ちの戦鎚などで扉を破壊した。


「アガシャー! アガシャー王はいずこっ!」

ボルハンのロトムが大音量で叫びをあげた。戦士たちは口々にアガシャーの名を叫び、20人ごとの小隊に別れた。

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