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04-14.元連隊長、打ち明ける3

「これはあくまで可能性の一つ、憶測にすぎないと断ったうえで言うのだが」

錬金術師ライラスは少しの間考えこんでから言った。

「望星教団という組織は、太古の女神を復活させる目的を持っていると君は乞食から聞いたのだったね」


望星教団についての話をしたときに、タモツは老乞食の来歴や、恋人だった女性が掴まってしまったという話、望星教団の中枢にいた女性から乞食が伝え聞いたという女神アルカディオンにまつわる話をライラスにしていた。


「また聞きのまた聞きですから真偽のほどは定かでありませんが、そのような怪しげな組織が、何か呪術的なもくろみを掲げて結束しているという話はあり得なくもないと思います」

「転移や転生といった現象は、君たち日本人――いや、自衛官にはこの世界で多く確認されているという……」

「はい。過去からおよそ60年にわたって合計何千人もの自衛官がこの世界に転移や転生していることになります」

「サエコという女性は、その中でも特別な何かを持っているということは考えられないだろうか?」

「と、いいますと?」

タモツは問い返した。


「刈谷の背後にいたのが望星教団だったと仮定してだが、女神アルカディオンの復活に、戸田冴子という女性の特別な死に方が必要……とか?」

「――!?」

タモツは思わず声を失った。

「それは、うかつにも考えたことがなかったです。冴子さんを自衛官の手で殺害することが、女神復活のための生贄いけにえになるということでしょうか?」

「うん。あくまで仮設の上に建てた憶測にすぎないから当たっているかは分からないが……。しかし、もし女神を復活させるのだとして、サエコという女性の身体を奪うのだとしたらその女性を殺してしまう意味が分からないけれども」

「そうですね。もっと調べてみないことには何とも言えない」

タモツはうなずいた。


「ですが、先生のおかげで一つの仮説は立ちました。望星教団が冴子さんに危害を加える存在なら、僕としては決して許してはおけない」

「私のほうでもできる限り調べてはおこう。ただ、今の君の本分はあくまでプラッド魔導学院の生徒だ。魔導の習得と研究を第一にすることは忘れないでくれよ」

「分かりました。心がけます」


タモツは丁寧に礼を言ってライラスの研究室を離れた。

そして、その日の夕方の定時連絡でバルゴサに滞在している押井三郎と念話で連絡を取り、調査した事実を簡単に伝え、押井からの報告を受けた。

それから、今度はトラホルンの王都ボルハンの方角に向かい、ギスリム国王に向かって念話を飛ばした。

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