04-01.元連隊長、報告を受ける
翌日の昼休み、昼食後にイルマはタモツとヴィーツに成果を報告した。
「さすがイルマねえさん。男を転がすことなんかワケないっすね! よっ、天性の悪女!」
とヴィーツが冷やかして、イルマは思い切りヴィーツのみぞおちに肘打ちを食らわせた。
「ぐほっ」
「こっちは任務のために仕方なくやってんの!」
「それで、魔晶石の作り方を教えてもらえそうなのかい?」
「教えてもらうわよ。トラホルンではとっくに失われた技術だけど、カディールでもほぼ失われた秘儀みたい。ライラス先生、あれで錬金術師としてはカディールでもかなりの研究者みたいね。ただ、魔導の才能はあまりないみたい」
イルマはタモツに言った。
「以前に聞いたカリヤっていう男、自分一人でそれをやってのけたっていうなら相当な術者だったみたいね」
「遠隔地から念話に乗っける形で他人の体内に魔晶石を生成したんだ。しかもそこに転送門の術式を込めた。それをやったのは協力者または黒幕がいたのかもしれないと思っているけど」
「自衛隊を飛び出して4年で一通りの術式を覚えていたっていうなら、カリヤって奴はジッドを飲んだんだろうな」
ジッド、トラホルンではキィラルと呼ばれる魔導開眼の秘薬であるが、飲めば死の危険を伴う上に成功しても寿命が縮むと言われるものである。
トラホルンでもここカディールでも表立っては流通が禁じられた薬品であったが、以前に放校となったアストランのような学生でも金さえ出せば比較的簡単に手に入るほどに、カディールでは身近なものでもあるようだった。
「刈谷が潜伏していた先はカディールで、刈谷を背後から操っていた組織もカディールに本拠地が存在する。僕はそんな気がしているよ」
「それは、なにか根拠がある話しなの?」
イルマが尋ねた。
「単純にカディールが魔導文化の先進地だからっていうことと、ジッドが手に入りやすいから、っていうくらいの勘だけどね」
タモツは過去、刈谷と戦った日のことを思い出しながら言った。
「どういうわけか、刈谷はサエちゃんを<自衛官の手で殺す>っていうことに固執していた。その目的などは全く分からないけど、最初はサエちゃんを自殺させようとして、次には僕の手で殺させようとしてきたんだ。何か魔導の、あるいは宗教的な儀式みたいな目的があるのかもしれないと考えていた。僕はそのあたりを調べてみようと思う」
「漠然とした話だなあ。まあ、調べるだけは調べてみたらいいんじゃね?」
ヴィーツが冷やかしのようにそう言った。




