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03-05.元連隊長、先輩と別れる

数日後、アストランは放校処分になった。

不正な薬物に関与したという罪状である。


ジッドの売人相手に炎の術式を使ったタモツは、特に罪に問われることは無かった。

自分自身を守りたいためにとっさに術式を使ったら発動したのだとアストランが証言してくれたからだ。


末端の売人を捕まえたところで都市警備隊がジッドの製造元をたたくことはできなかったが、魔導の開眼に悩む生徒たちが安易な道を選ぶことが無いように学院では生徒たちへの指導が強化された。


「さびしくなるよ、アストラン」

「ありがとう、タモツ。君がいなかったら僕はジッドを飲んでは偽物をつかまされたと思い込んで、また繰り返していたんだと思う」

アストランと親しくしていた者は他にいなかったから、見送りはタモツだけだった。

が、ヴィーツがイルマを連れて後から駆けつけてきてくれた。

「アストラン先輩! なんか特殊な才能があるって聞きましたけど」

「ああ、ヴィーツ。どうやらそうみたいなんだ。君の火炎も僕には一切効かないよ」

「すげーっすね。武術の訓練でもしたら<魔導士殺し>になれるんじゃないですか?」

「僕が武人に? それは考えたこともなかったな」

アストランは笑った。


「君は確かイルマだったね。あっという間に三学期を駆け抜けて行ってしまったのを覚えているよ」

「よろしくお見知りおきを。タモツとは親しい仲なんです」

「え? 俺とは?」

ヴィーツがちょっと傷ついたように言った。


「さて、名残惜しいけどそろそろ行こうかな。僕の処遇がどうなるかはまだ分からないけど、父さんは僕の才能を生かせる新たな訓練場所を考えてくれるって言ってくれた」

「それならよかった。君ならきっと将来は何者かになると思うよ」

タモツがそう請け合うと、

「タモツ、君は本当に生意気なやつだなあ」

アストランは苦笑いをした。

「でもありがとう。この特殊体質を何かに活かせるといいんだけどね」


「ご活躍をお祈りしています」

とイルマが淑女らしく丁寧な口調で言い、

「またいつか会いましょうねー」

とヴィーツが明るく言った。

「では、いつかまたどこかで」

と、タモツは言った。

アストランは身をかがめてタモツの肩を抱き、

「うん。また会おうタモツ。ヴィーツとイルマもありがとう」

と言った。


アストランの家の使用人らしき2人が荷物を持って遠巻きにみていたが、やがてもう一人が馬車の準備ができたことを伝えに来た。

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