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02-20.元特務隊長、イズモに帰還する

翌日の夕方にハジメたちは新日本国の首都であるイズモに帰還した。

カリザトに一泊させてもらった後はトラザムで小休止をしてイェルベまで戻り、また船でイムルダールへ向かった。

首都とはいえ、イズモはいまだに建造中で、政府機関の大半はまだイムルダール駐屯地に間借りしたままであったが。


「あ、タイチョー、おかえりなさーい」

犬の散歩か何かから戻った夫を出迎えるような気軽さで、木下カナデ大統領夫人は夫を出迎えた。

カナデはイズモの建設予定地内で、道端の草を引っこ抜いて遊んでいるようだった。

「なにやってんのお前?」

「いやあ、食べられる草はないかなーと思ったんですけどぉ」

「やめろよお前、どこの欠食児童だよ。お前いちおう大統領夫人なんだぞ?」


「イズモやイムルダールに居てもすることが無いんですよぉ。なんかカナデちゃんにもお仕事無いんですかぁ?」

「じゃあ俺の代わりに、俺の筆跡を真似て書類にサインでもしておいてくれよ」

「無理ですよぉ。タイチョーの字ってぐちゃぐちゃですもん。真似できません」

カナデは文句を言った。

「何かないんですかぁ? カナデちゃんにふさわしいクノイチみたいな秘密を探る任務とか」

「お前みてえにタッパのある胸のでかい女、目立ってしょうがねえよ。隠密行動とかぜってえ向いてねえし」

カナデはむくれた。


「それはそれとして、視察のほうはどうだったんですか? 隊員さんたち皆さんやる気十分でした?」

「ん-、そうだな。腹の内では人間と戦いたくないって思っている奴もいるのかもしれねえけど、そこは割り切ってるんじゃね?」

とハジメはカナデに言った。


「バイアランで正面から迎撃。もし回避されて南側面に回られたらカリザトの第3普通科連隊が北上。第5と第3普通科連隊の隙間にはトラホルン軍を後詰として配置。穴は特に思いつかねえな」

ハジメはバイアラン近辺の兵力配置を思い出しながら言った。

「守備隊を率いる南原連隊長も、頼れそうな感じだった。不安要素は無い、と思う」


「思う?」

「何が起こるか分かんねえからさ、戦いってのは」

ハジメは荷物を背中から降ろして、どかっと道端に座り込んだ。

先ほどカナデをとがめだてていた割には、本人のふるまいも全く大統領らしくない。

念のため後をついてきていた持田が慌てた。


「竜王アガシャーってのが、ただただ正面突破を仕掛けてくるような脳筋野郎なのかどうか、それは後のお楽しみだ」

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