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10-18.格闘王、父になる

サルヴァ女王、ご懐妊!


この噂はバルゴサ中を瞬く間に駆け巡り、さらに行商人などの口によって諸国にももたらされた。

もちろん、サルヴァ女王付きの白魔導士によって懐妊の事実はすでに同盟国の元首たちにはもたらされていたのだったが。


(岡崎くん、おめでとう!)

このごろはケータイ電話か何かみたいに気安く念話を飛ばすようになったタモツが、知人たちを代表して喜びの声を寄せてきた。

(あ、うっす。なんか実感わかないっすけど)

(そうかもねー。僕たちのところもいずれは出来るといいなあ。あ、ハジメがさー、子供の性別が逆だったら結婚させようぜって言ってた)

(政略結婚っすか? タイチョーと親戚になるのはビミョーっすね)

(あはは。じゃあ「嫌だ」って伝えておくー)

(え? ああ、嫌ではないですよ。ただ本人たちの意志を第一優先で)

(わかったー)

タモツは子供らしく笑ってから念話を打ち切った。


「あら、どうしたのザッキー? 考え事?」

「いや、念話が来たんだ。タモツさんから」

「あらそう。なんだって?」

「懐妊おめでとうっていう話。あと<竜殺しのハジメ>が、子供の性別が逆だったら婚約させようって」


「あらまあ大人気だこと。ちょうどお姉さまともそんな話になっていたのよ」

「なんだって? それじゃロトムも父親に?」

「そうよ。同盟国の元首が一斉に子をなすなんて、慶事も慶事よ」

まだ幼な妻であるサルヴァは、まるで20は年上の女であるかのように貫禄のある態度で言った。

「怪しげな宗教団体の件も片付いたし、これでラールの西側もしばらくは安泰でしょう」


「そうだといいな。邪教が企てていた怪しげな試みのせいで、結果として国が一つ滅んでしまった。恐ろしいことだ」

「タモツたちが未然に食い止めていなかったら、そのゾンビ? だかという動きまわる死体がラール全土に送り込まれていたかもしれないのでしょう? ゾンビに噛まれるとゾンビになるって、念話でタモツから聞いています」

「ああ。どうもそいつらがパバールという魔導士をそそのかしてギスリム陛下を殺させたっていうしな。撲滅できて幸いだった」

「邪教徒狩り部隊がしらみつぶしに国内を調べ上げて残党を探しましたが、見つからなかったといいます。熱心な信者たちはライフェルまで落ちのびて、そうでない者は信仰を捨てたのでしょう」

サルヴァはそう言って、愛しげに自分のお腹をなでさすった。



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