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10-17.元連隊長、新たな部下を得る2

ヴィーツとイルマの結婚式はトラホルンの王都ボルハンの神殿で行われた。

ヴィーツはド派手にやりたかったらしいのだが、倹約家のイルマがそれを許さず、結婚式は簡素なものとなった。


以前は他国の密偵や、一般人へ与える不安感などを考慮して転送門の術式をこっそり使っていたタモツだったが、このごろは遠慮なく多用している。新日本国が抱える最強の魔導士として、タモツの名はすでに大陸中に知られてしまっていた。

そんなわけで、タモツは堂々とイズモからハジメとカナデをつれてきて、ヴィーツの結婚式に参列させたりしていた。


タモツとヴィーツ、アストランが討伐した死者の王カリヤと、望星教団の顛末についてはラール大陸各国に知らされることとなった。

邪教が死者を蘇らせる秘密の儀式の果てに、一国を滅ぼすことになったという衝撃的な事実であった。


遠く東にある東方通商連合ではどのように考えているか今一つ分からなかったが、カディールでも望星教団の怪しい動きは問題視されていた。カディールとバルゴサでは、望星教徒の残党をあぶりだす邪教徒狩りが行われたりもした。


ともあれ、ひとまず大陸には平和が戻ったように思われた。

バルゴサにも新たに自衛隊駐屯地が設置されることとなり、まずは試験的に首都ヌーン・バルグのそばに、イルハン駐屯地が設立されることになった。


「謎に思っていることが一つあるんだよなあ」

発想が豊かなことが自慢のヴィーツが、ふと口にした。

「なによ、謎って」

同じ職場で働くヴィーツの妻イルマが魔晶石を生成しながら夫に尋ねた。

「誰がどんな目的で、この世界にタモツたち自衛官を呼んでいるんだろう?」


「ああ、それは、誰かが答えを知っているなら僕も聞いてみたいよ」

小隊長のタモツがヴィーツに向かって言った。

形式上2等陸士からのスタートとなったトヨトミ夫妻だったが、職責にふさわしい給与、および階級を与えるものとしてそれから半年の間に3等陸曹までスピード昇進していた。

「誰だったら答えを知っていると思いますか、小隊長?」

アストラン技官が尋ねた。アストランもまた、技官待遇で日本人に帰化していた。魔導を使えない身では魔導国家カディールでの出世はあまり見込めない。ならば異世界自衛隊で世界の平和に貢献したい。そのように考えたからだった。


「亡くなったギスリム国王、あるいはパバールさんなら何かを知っていたのかもしれないけれど……」

「それではもう、確認するすべもありませんね」

錬金術師ライラス、改めライラス技官がそう言った。彼もまた、アストランと同様技官待遇で日本人に帰化していた。

魔晶石研究によって認められて職を与えられるなら、自分も異世界自衛隊に所属しようと考えたからだった。

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