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09-19.元連隊長、大統領府へ2

「おうタモツ、来たか」

新日本共和国第3代大統領木下ハジメは、大統領夫人のカナデを伴ってタモツたちを出迎えた。

「やあハジメ。こちらは錬金術師ライラス先生。カディール暮らしが長いけど出身はトラホルン。それからこちらはアストラン。カディール出身。それからヴィーツ。以前にトゥーラン館にハジメが来てくれた時には熱を出して寝込んでいたから君には会えなかった」

「お初にお目にかかります、大統領閣下」

「初めまして、アストランと申します」


ヴィーツは出会えて感動したようで、言葉もなく突っ立っていた。

「どうした? もしかしてぺたぺたしたいのか?」

ハジメは笑ってヴィーツの頭に手をやり、その赤みがかった髪の毛をぐしゃぐしゃに撫でてやった。

「<竜殺しのハジメ>から家名を賜りたいっていうのはその子なんだ。なんかいいのを思いついたかい?」

「んあー。俺と同じキノシタだったらダメなの?」

「ああ、いえ、そんなのは恐れ多いっ!」

ヴィーツは慌ててかぶりをふった。


「じゃあやっぱりあれじゃないですかぁ。木下だからトヨトミで」

カナデが笑って言った。

「あー、じゃあそれで。ヴィーツ、お前は今日からトヨトミ・ヴィーツだ」

「!! トヨトミ・ヴィーツ!」

ヴィーツは感激したようだった。

「じゃあ俺、今日からトヨトミ・ヴィーツを名乗りますっ!」

「おう。じゃあ、ついでだからぺたぺたしていけ」

「うっす! 失礼しまっす!」

ヴィーツはハジメの身体をぺたぺたとさわりまくった。


「? これはなんの儀式なの?」

アストランがタモツの顔を見て言った。

「なんかね、<竜殺し>の身体をぺたぺたすると寿命が延びるんだって」

「え? 本当かい? じゃあ僕も失礼して……」

アストランはハジメに断って、ヴィーツに代わってその身体を手のひらで触り始めた。

錬金術師ライラスも遠慮がちにそれに加わった。


「ヴィーツは日本人になりたいって言っているんだけど、新日本共和国で移民を受け入れる余地はないのかい?」

「森本のじいさんは反対派だったんだが、俺自身は考えてもいいと思っているよ。ただ、実情では男女差が激しいからな。虫のいい話をすれば若い女だけ欲しい、みたいなところはある」

「それ現実世界で国家主席が言ったら大問題になるよ」

タモツはあきれた。


「カナデさん、ヴィーツは日本人女性と結婚したいっていう願望があるんだけど、誰か良い人知らない?」

「えぇーっ。ヴィーツくん、赤毛に青い瞳の美少年じゃないですかぁ。カナデ、旦那と離婚してつきあっちゃおうかなあ」

当の旦那の目の前で、カナデはあっけらかんと言った。


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