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09-18.元連隊長、大統領府へ

遺跡を探索し終えた後、タモツは少しの間三人を待たせて、新日本共和国の首都であるイズモに魔導の目を飛ばした。

いまだ建設途上であるイズモの建築現場の一角に、木下ハジメ大統領の姿を認めた。


(ハジメ、タモツだけど今ちょっといい?)

(んあー? ハジメ? 念話ってやつはどうも慣れねえな。どした?)

(ちょっとお願いしたいことがあってね。日本びいきのトラホルン人の男の子がいるんだけど、日本風の名字を何か考えてあげてよ)

(名字ぃ?)


ハジメは面食らったようだった。

(うーん。そういうのは俺は苦手だが、カナデなら何か思いつくかもしれねえな)

(考えておいてくれると嬉しいよ。このあとすぐにそっちに跳ぶから)

(跳ぶって、お前あれか。転送門ってやつか。お前のそれ、最強だな。どこでもドアじゃん)

(使うと結構疲れるし、それなりに不便もあるけどね。とにかく頼んだよー)

タモツはそれだけ念じて念話を打ち切った。


「よし、これでいい。じゃあ、跳ぶよ」

「カリザトに帰るのかい?」

アストラン、ヴィーツと共同で官舎を一つ借りているライラスが言った。


「いえ、その前にみんなに新日本共和国の首都、イズモを見てほしくて」

「お! もしかしたら<竜殺しのハジメ>にお目にかかれるのか?」

まだハジメに会ったことのないヴィーツがわくわくして言った。


タモツは転送門を開き、人気のない荒野の上に転送場所を設置した。

「じゃあ、いくよー」

タモツたちは新日本共和国の首都イズモ、ならびに隣接したイムルダール駐屯地が見える場所に転送された。

「こんな機会でも無かったら一生来ることは無かっただろうなあ」

アストランが感慨深げに言った。


タモツたちは歩いて首都イズモに入っていった。イズモは自衛隊の駐屯地ではないが、外敵から防御するために外柵を囲ってあり、入り口には警衛任務に就いている隊員が立っている。一種の城塞都市と言って良かった。

「沖沢タモツ2尉です。こちらはトラホルンからの技術士官たちです」

11歳の2等陸尉であるタモツは超有名人であったので、警衛から詮索されることもなく営門を通過できた。


タモツは魔導の目を飛ばしてハジメの居所を確認したが、どうやら今は大統領府にいるらしかった。

タモツ以外の三人はイズモの街並みを物珍しそうに見て、きょろきょろしながら歩いている。

「これは街というより、軍事基地みたいな感じだね」

錬金術師ライラスが素朴な感想を漏らした。

「女性の姿があまり見当たらないです。男性ばかりだ」

アストランも言った。

「えー。困るよ、俺、なんとかして日本人女性と結婚したいのに」

ヴィーツは以前タモツが言ったことを本気で気にしているようだった。


大統領府の建物に到着すると、警護官がタモツを認めて中に通してくれた。

タモツたちの来訪は大統領から事前に告げられていたらしかった。

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