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09-09.サルヴァ女王、戴冠する2

戴冠にあたっての初心表明を済ませたのち、新女王サルヴァは玉座から降りた。

冴子を後ろに従えたトラホルンのシーリン女王が玉座の前に歩み出て、バルゴサの新女王に祝いの言葉を述べた。

そして、二人は玉座の前で固く抱き合った。姉妹の女王たちはバルゴサとトラホルンの対等な同盟と、友好を誓い合った。

会場は盛大な拍手に包まれた。


サルヴァ女王の後ろ盾にはトラホルンがあり、トラホルンは肥沃で広大な穀倉地帯を抱えている。

ここ数年は特にひどかったが、慢性的な食糧不足にさらされることが多かったバルゴサにとって、この同盟関係は安心材料になった。

反サルヴァ派も表立ってはサルヴァへの反対を言い出しづらくなっただろうし、暗殺の危険性も下がったものと思われた。


サルヴァが暗殺されてしまえばトラホルンとの同盟はなかったことになるばかりか、ことによるとそれを口実としてトラホルンに攻め込まれることも考えられるからだ。

バルゴサ国民の中には異世界自衛隊の掲げる専守防衛という理念はよく知られてはいなかったし、理解も難しいことだろう。

新日本共和国属といいつつも、事実上トラホルンが抱える属国の兵力であるとみなされていたから、異世界自衛隊がバルゴサになだれ込んでくることを想像して肝を冷やしている者も多かったと思われた。


シーリンが参列者の中に戻っていくと、サルヴァは玉座の隣に控えていた王配の岡崎を参列者たちに紹介した。

「ここに控えるは妾が王配、オカザキ・チヒロである。ニッポンという別世界からやってきたため、名が呼びづらく妾はザッキーと呼んでおる。ちなみにオカザキが家名で、チヒロが名である。見ての通りの偉丈夫であるが気性は優しい。妾に面と向かって言いづらいことがあればザッキーに申すが良い」

まだバルゴサ語をあまり話せない岡崎は、紹介されて一歩前に出たが、特に何も言わずにまた一歩下がった。

参列者たちの間からまた拍手が起こった。


********


そののちは、シーリンの結婚披露宴にならって祝賀会が催された。

サルヴァはバルゴサでめでたい色とされる赤のドレスに身を包み、赤と黒とを基調とした礼服を着た岡崎を伴って会場に姿を現した。

会場は拍手に沸き、バルゴサの重鎮たちも半分恐る恐る、新女王のご機嫌をうかがった。

サルヴァは一人一人の者たちにそつなく対応し、邪険にすることなく、それでいて話を長引かせずに見事に応対した。

身長2メートルをわずかに超える岡崎の巨体にも、人々は目を見張っていた。

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