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09-02.元特務隊長、カリザトへ行く2

ハジメは自分でも意外なほどショックを受けたまま、方面総司令部を辞去した。

持田はハジメの顔色をうかがって心配そうにしていたが、自分からは何があったのか聞き出そうとはしなかった。


「ちょっとこれからタモツとカナデのところに行く」

「私は席を外しましょうか?」

「いや、いてくれ」


ハジメは持田を連れてカリザト駐屯地の西側に歩いて行った。官舎村が設けられた東側とは真反対のそちら側には、急ごしらえの営門が作られており、そこをくぐると新設された魔導実験小隊のための実験施設に至る。

駐屯地の外柵沿いに新たに設立されたその場所は、戦車のためのパークと大きな整備工場のような木製の建物があった。


「うぃーっす、沖沢2尉はいるかーい?」

自衛官らしからぬ無頼さで、ハジメは整備工場の建物の中に入っていった。

ハジメの姿を認めて、タモツを含むその場にいた隊員たちが一斉に敬礼をし、

「お疲れ様ですっ!」

と叫んだ。


「はーい、おつかれちゃーん」

ハジメは鷹揚な態度で隊員たちに向かって手を振って見せた。かたわらで持田が何か言いたそうな顔をしていたが、それには構わず、

「タモツ、ちょっと話せるか?」

「自衛官としてではなく、友人としてってこと?」

タモツが駆け寄ってきて言った。

「カナデちゃんもいたほうがいい?」

ハジメがうなずいたので、タモツは陸曹の一人にカナデを呼びにやらせた。

「申し訳ないがちょっと席をはずす。僕が戻ってくるまでは休憩とする!」

タモツは小隊の隊員たちを振り返って大きな声で言った。

隊員たちが口々に了解を口にするのを尻目に、タモツは整備工場からハジメを促して、戦車パークのはずれまで誘導した。

やや遅れて、カナデが整備工場から走ってやってきた。


「方面総監からもういっぺん大統領になれって言われたよ。森本のじいさん、どうやら病気でもうヤバいらしい」

周囲に人がいないことを確認してから、ハジメは3人に向かって言った。

「なんだって!?」

タモツが驚いて思わず叫んだ。

「84歳のおじいちゃんですから何があっても不思議ではないですけど、病名は分かっているんですか?」

新日本共和国設立時のスタッフとして、また大統領夫人として森本と関りのあったカナデは残念そうに言った。

「胃がんじゃねえかって話だが、検査できないし手術もできねえからわからねえしなんともならねえらしい。本人は死期を悟ったようなことを言っているらしくてな、俺に会いたがっているらしい」

ハジメは言った。

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