01-16.元連隊長、魔導学院に入学する4
翌日、タモツたち新入生の入学式が行われた。大陸全土から集められた生徒たちは50人ほどのようだった。
タモツの容姿はカディールでは見かけることのない日本人のものだったから、多くの同級生から珍しがられて声をかけられた。
年齢的にはタモツと同じ7歳で入学するというのは決して珍しくないようで、その点では特に何も言われることは無かった。
ヴィーツやイルマもトラホルンから来たということでやや珍しがられた。というのも、トラホルンでは自国の王立魔導研究所、俗称魔導士の塔で育成して<白魔導士>というライセンスを与えることが知られていたからだった。
カディールでは由緒正しいこのプラッド魔導学院の卒業生であっても、トラホルンの法に従えば黒魔導士という扱いになる。トラホルンから入学してくるという事例は滅多になかった。
その辺は口が達者なイルマが「私たち3人は物好きな商家の主に拾われた子供たちで、将来は隊商の護衛として主に使えるのだ」という話で押し通していた。
タモツも日本という別世界から来た民族の子だが、貧困のために身柄を大商人に買い取られたという話になっている。
(どこかで話に矛盾がでてきやしないかなあ……)
とタモツは不安に思ったのだったが、とりあえず周囲の子供たちを納得させることはできたようだった。
入学式は滞りなく進み、タモツたちは晴れてプラッド魔導学院の1学期生という立場になった。
授業は学期ごとに区切られているが、進みの速いものがあれば飛び級して2学期生、3学期生へと先に進んでいくこともできるらしい。
逆に覚えが悪ければ進級は保留され、ずっとその学期に留まるか放校という形になると校長が述べていた。
魔導学院の校長はマルキオンという名の老人でカディール人であった。タモツの目から見て年齢はよくわからなかった。80といわれたらそうも見えるし、意外と60くらいなのかもしれなかった。
背筋は伸びていて、演壇の上で語る声には張りがあって力強かった。
「以上、君たちが本校で学ぶにあたって知っておいて欲しいことは述べた。この名門プラッド魔導学院で学べることを誇りに思い、在校生にふさわしい生活態度を保ち、勉学と魔法技術の習得に励んでほしい。これで私の話は終わる」
生徒たちは最初はまばらに、それから徐々に拍手を始めた。
校長が演壇から降りると、教頭のナーセルという背の高い中年女性が、
「それではこれよりクラス分けを行います。カディール語の水準によってアーファとヴェルトの2クラスが用意されています」
と生徒たちに告げた。




