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08-06.元連隊長、女王に謁見する

ロクイチが解体されるまでの間にタモツはさらに魔晶石への改良を加えて、魔素融解ギリギリのラインを攻めてみることを続けていた。

いずれ魔導戦車の量産化を進めるならば、基礎となる魔晶石をイルマのように優れた錬金術師に作らせる必要があるだろうと思う。


タモツは現世で部品を組んで作る自作型のコンピュータを趣味で扱ったことがあったが、あれの中央集積回路(CPU)をオーバークロックさせて使う状態に、融合魔晶石は近いと思う。

CPUのオーバークロックとは、本来その集積回路を動かす定格動作を越えた高性能で動作させるというもので、それ自体を遊びとして追及する人も世の中にはいた。

レース場の中で改造車を走らせて速度を競うドラッグカーレースというものにも近いかもしれない。


本来の定格動作より高性能で動かせる代償として、多くの電力を要求したり大きな発熱が起こったりして、CPUには大きな負担がかかり、一般には製品寿命を縮めてしまうことがあった。

同じように、融合魔晶石が背負うリスクは魔素融解である。簡単に言ってしまえばせっかく作った魔晶石がバラバラになってしまい、そこに込められた魔素が高次元に霧散してしまうのである。


タモツは一度魔素融解を覚悟で、自分が作る魔晶石がどのラインまでの融合強化に耐えられるのか実験してみようと考えた。

そのために注入した魔素を一瞬で失うのは面白くないが、一度実験してしまえば線引きが分かるようになるはずだ。

今後研究や戦車の改造を続けていくにあたっては、是非とも錬金術師ライラスを顧問としてスカウトしたいとタモツは考えるようになった。


タモツはカリザトの方面司令部に打診し、トラホルンのシーリン女王の許可を得てライラスという人物をカリザトに招聘しょうへいするように掛け合うということを立案した。

錬金術師ライラスは自分自身の魔導士としての能力は決して高くないものの、錬金術の理論構築に秀でていて物事を人に教えることも上手かった。

さらに、本人がトラホルン出身で、トラホルン王国に対して非常に強力的な立ち位置でもある。


方面司令部の方ではトラホルン人の顧問を迎えることについては異存がないということで、人物の見極めについてはタモツの見識を信頼するということだった。

タモツはカナデを伴って王都ボルハンへ向かい、戴冠式を間近に控えたシーリン女王に謁見を願い出た。


謁見の間では女王然とした衣装に身を包んだシーリンが玉座の間に座り、王配となったボルハンの勇士ロトムが右手に控えている。

そして、女王の左手には女王護衛官としてトラホルン人になった戸田冴子の姿があった。

冴子はシーリンの求めに応じて、異世界自衛隊の1等陸佐という地位をあっさり捨ててしまった。

タモツの知る限りシーリンも冴子も誰にでも心を開くというタイプの女性ではなかったが、何か二人の間にはすごく通じ合うものがあったのだろうとタモツは思う。

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