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08-01.元連隊長、魔導戦車を造る

ギスリム国王との提携により、異世界自衛隊はカリザト駐屯地に魔導実験小隊という試験部隊を設立していた。

所属する魔導士は現在沖沢タモツ2尉ただ一人であったが、秘書的な業務一般を任せる副官として前大統領夫人でもある木下カナデが、技官待遇から3尉待遇で復員を命じられた。


カディール出発前には3尉待遇で再任官予定だったタモツだったが、新設部隊の小隊長というポストを与えられるにあたって給与待遇や職責のバランス上、階級がひとつ上がることになった。

異世界自衛隊の転生組の中でも、11歳で2尉というのは異例のことであった。

ちなみにタモツ以前に能力を期待されていた転生組の中でも戸田冴子は出世がかなり早いほうだったが、冴子が2尉になったのは13の時である。


「このまんま順当に出世して行ったら方面総監になることは間違いなしですね!」

カナデがタモツを冷かした。

「次も60まで生きられたとして、そんな重責を背負ってしまったら僕でやっていけるのかなあ……」

タモツは異世界で自衛官を続けていって、階級が上がっていく未来の自分を想像してみた。

現実世界の自衛隊には無い1等陸将というポストが現在のところ異世界自衛隊最上の階級である。

森本モトイ大統領は、この上に元帥という名誉階級を設けることを提案しているようであったが。


「寿命が60歳だと考えたってあと49年もあるんですよ? それに、森本モトイさんみたいに80歳を過ぎても現役っていう人はいますし」

「政治家と自衛官だとまた違うでしょ。異世界自衛隊は本人が望むなら70までは居られるってなっているけど、僕は65で辞めると思うなあ」

異世界自衛隊を務めあげたものは、勤続した年数に従った金額で65歳から恩給があたることになっていた。


「おっと。そんな話をしている場合じゃないね、実験を再開しないと」

昼休み終わり前後にカナデと雑談をしていたタモツは、自らが生成した魔晶石の改良型を実験室に持ち込んだ。

木造の小さな体育館のような建物の中には、陸上自衛隊の小ぶりな旧式戦車が一台安置されていた。

名を、61式戦車という。


現世では戦車部隊を持つ駐屯地にオブジェとして飾られているだけの存在だったが、この異世界に転送されてきた戦車のうちの一台であった。

「今じゃ外観はボロボロですが、燃料を入れればエンジンはおそらく動きますよ」

と、整備隊員の一人が言った。

「異世界で雨ざらしになっていただけのこいつが実験目的とはいえ、こうして日の目を見ることになるとはねえ」


カリザト駐屯地創設当初に駐屯地の裏手にふらっと転送されてきて、その後燃料も使い道もなく放置されていただけの戦車であった。

その当時でさえ到底現役のはずもなかったのだが、どういうわけか転送されてきた当初はピカピカの新品のようだったという。

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