表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/200

07-12.元特務隊長、葬列に参加する2

歴代王族が眠る王家の墓地に、ギスリムの棺が埋められた。

列席した人々が鉄のスコップでひとすくいずつ土を棺の上にかぶせていき、最後に王家の墓守をしている役人が土をならして埋葬が終えられた。墓石は現在制作中のものを、のちにすえられるはずだった。


喪主にあたるシーリンとサルヴァが列席した人々の前に立ち、シーリンが代表して話し始めた。

父王の葬儀に参列してくれたことに感謝の意を述べたのち、シーリンはトラホルン王国の王権を自分が引き継ぎ、女王として統治していくという意向を述べた。

この葬儀の日までにトラホルンの首脳陣が話し合った結果、シーリンを次期国王として押し立てることが決定していたらしい。


ハジメは他の人々と共に拍手をしながら、冴子の方を振り返った。

「シーリン王女からスカウトされたらトラホルン人になるつもりかい? サエちゃんよ」

「ああ、実はもうされているのだ。女王づきの護衛官として身近に仕えてくれとな。その話、受けようと思っている」

「そうか。サエちゃんも異世界自衛隊辞めちゃうのか。そいつはちっと寂しくなるな」

「トラホルンに仕えるとなるとそうなるな。まあ、トラホルンと新日本国は一体のようなものだ。国籍などという概念はこの世界には無いわけだし」


「仕えるべき主君を見つけたんだね、サエちゃん」

タモツが横から口をはさんだ。

「そうだな。あの方は素直でまっすぐなお方だ。おそばに仕えて守って差し上げたい」

「女王警護官、クイーンガードですか。サエちゃんかっこいいです!」

カナデも冴子の進路選択を祝福した。


葬列は散開した。時期女王になることを宣告したシーリンと、バルゴサの時期女王になることを表明しているサルヴァの周りには警護の兵たちが20人ほど群がっていた。

「私はシーリン様と一緒に王宮へ戻る。夕過ぎにドラゴン飯店で落ち合って、久しぶりに四人で話さないか?」

別れ際に冴子が言った。

「いいねえ」

とハジメが同意して、タモツがうなずき、カナデも

「さんせーい!」

と子供のように喜んだ。


「サエちゃんもトラホルン人になるのかあ。出会ったときはザ・自衛官って感じだったのになあ」

ギスリムという友を失ってからはいっそうのことだったが、この頃のハジメは昔のことを思い出してしんみりすることが多くなっている。

俺も歳をとったってことなのかな、とハジメは少し自嘲した。

「そうだねえ。確かあの時11歳だったはずだから、今の僕とちょうど同じ年だったんだなあ」

タモツも昔のことを思い出したようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ