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07-11.元特務隊長、葬列に参加する

ギスリム国王の棺は、玉座の間で主だった国内貴族らの弔問を受けた。

その中には妾腹の兄に王位を譲ったパロム王子とジルダット王子、それから王の甥にあたる王子たちの姿もあった。

彼らの中のいずれかを担いで王位を継がせようという勢力もあったようだが、今のところシーリン王女を担ぐギスリム派の勢力を上回るほどの力を持ったグループは存在していないようだった。


なにしろ、ギスリム王の死去が唐突すぎた。将来的にシーリンに対抗すべく準備をしていた各勢力も、その準備が全く間に合わなかったのだと見て良いだろう。

皮肉なことだが、ギスリム本人が早くに逝去してしまったことで、ギスリムが描いていた王権の委譲がスムーズに行われることになるようだ。


二日間弔問を受けたのち、棺はボルハン市中へと運び出され、500人の兵たちに囲まれて王宮から街の大通りを南に進んだ。

王都の入り口まで来ると今度は引き返し、今度は王宮を迂回して旧市街の北側へ回った。

王都を取り囲む七つの丘の一つ、イルハンの丘のふもとへと進み、そこにある歴代王族の墓地へ葬列はたどり着いた。


ハジメ、タモツ、冴子、カナデは最初から最後まで葬列の中央より後方付近にいて、その道のりを歩いて行った。

ハジメら三人は王の古くからの友人として、カナデは大統領夫人時代に親しく口をきいた仲として、王友という扱いであった。


岡崎とロトムは、ともに王の婿として婚約者の姫たちの傍について先頭付近を歩いていた。

葬列の先頭は長さ4メートルほどの竿に括り付けられたトラホルン王国の大きな国旗で、風にあおられて倒れたり落としたりしないように二人がかりで支えられていた。

その意匠は、赤字に金で描かれたズイシャールと呼ばれる、オオカミに似た姿のトラホルン特有の魔獣であった。

特務隊時代にハジメも多く狩り殺した記憶があるが、今ではほとんど絶滅しかかっている。


葬列に参加しながら、ハジメはギスリム国王との思い出を思い返していた。

第四王子だったギスリムが冴子を見初めてタモツに挑戦してきたとき、ハジメも面白がってそのイベントの司会みたいなことをした。

トラホルンと異世界自衛隊の関係を密にするためにギスリムは色々なことを画策して、新日本国成立に関しては裏で支援もしていたようだった。

森本モトイ現大統領が異世界靖国神社の祭祀長だった時代、森本が外部の何者かと接触していることを察知して警告を送ってきたこともあった。


思い返せばすべてが懐かしい。

ハジメは改めて王の死を悼んだ。

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