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07-07.元特務隊長、トラホルンへ帰還する

王の亡骸は、バルゴサからトラホルンへすみやかに移送された。

王から玉璽を委ねられたハジメは、災害派遣団の維持運営を部下たちに任せて王の棺に随伴してトラホルンへ戻った。


王の護衛についていた500人の兵士たちは誰もがうなだれ、王の傍についていた四人の兵士は特に己を責めて呪っていた。

「それは仕方ねえよ、誰もパバール導士が陛下に反逆を企てていたなんて思いもしなかったんだから。王陛下御自身だってそうだ」

ハジメは兵士たちを慰めた。

しかし、そのようなことを言っても兵たちの慰めには少しもならないようだった。


導士パバールがなぜあのようなことをしでかしたのか、当人が死んでしまった今となっては確認することもできない。

「思わず殺してしまいましたが、生きたまま捉えて背後に何者がいるのか、独断なのかを聞き出すべきでした」

パバールを剣で突き殺した兵士が後になってそう言ったが、あの混乱した状況ではそれも仕方がないだろうとハジメは思った。


(国王の急進的な改革に、旧守派のパバールは危機感を覚えていたっていうことか。王を殺してでもそれを止めたいと思うほどに)

国王を殺してしまえば己の命はなく、大罪人として殺されて晒されるのは目に見えている。それでもなお、パバールにはそれをしなければならない理由があったということだろうか?

(あるいは刈谷のバックにいた何者かが、パバールのことを密かに洗脳していたっていう線はねえか?)

ハジメは一人、黙考していた。

(刈谷のバックにいたかもしれねえ宗教組織、なんていったか忘れちまったが、そいつについてはタモツが調査していたって聞いたな)


災害派遣のためにバルゴサに旅立ったハジメと入れ違いに、タモツが帰国したという話は噂で聞いていた。魔導学院でのカリキュラムを全て終えて、さらに独自に習得した魔術も加えて、いっちょまえの魔導士になったとか。

(あいつともしばらく会ってねえ。もう四年以上になるか。せっかくの再会がギスリム王の葬式になるなんて、なんだかちっともめでたくねえな)


ギスリム王の棺は行きのルートとは違う東回りで、バルゴサの東側にある各都市を通過して帰ることになった。

ギスリムの棺が通るという噂を聞き付けた民衆が沿道に集まって、トラホルン兵たちに囲まれた棺の通過を祈りと共に見守った。


飢饉に対する災害派遣を提案してバルゴサの各地に異世界自衛隊を通じて配ったことで、バルゴサの民衆たちはギスリムが新たな王座につくことに対して大きな期待を寄せていたようだった。

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