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06-19.元連隊長、冴子と過ごす

王都ボルハンに帰還したその夜、タモツは市中の高級な宿に宿泊した。戸田冴子と一緒に、である。

「い、一応断っておくがそういうことはしないぞ。お前はまだ子供だからなタモツ」

冴子は顔を赤くして言った。

「あ、うん。大丈夫」

タモツもちょっと照れながらうなずいた。


別々のベッドに入って、二人は夜遅くまでいろいろなことを話し合っていた。

「外交武官の任期、もう四年継続するの?」

「姫様たち、ことにシーリン姫が私を信頼してくださってな。新日本国の方でもいずれ王家を継承されるかもしれない方たちとのパイプはつないでおきたいということで、私が継続することになりそうだ」


「トラホルンと日本の間の外交問題と言っても、特に軋轢あつれきなんかはないよね? 普段は何をしているの?」

「うーむ。正直に言ってしまうと姫様たちの日本語の家庭教師をしているようなものだ」

「へえ。なるほど」

「特に岡崎くんを夫に持つことになるサルヴァ姫は日本語の習得にとても熱心で、筋もいい。あの子はどうも、父親にそっくりなのではないかと思えるな。人あたりが良くて頭の回転も速く、一見して物腰が柔らかいがとても野心的なお方と見える」

「ええっ? 四年前に見た限りではとても可愛らしい女の子だったけど」

「異様に頭のいい姫様だ。実は転生者なのではないかと思えるほどに。シーリン姫様は頑ななところはあれど、心根は素直で優しい」


「サエちゃんはシーリン様のことがすごく好きなんだね」

「そう、だな。私は異世界自衛隊に残りの人生を捧げるつもりだったが、外交武官の職を退いたらシーリン様にお仕えするのも悪くないと思うことがある。おそばについて守って差し上げたいという気持ちを起こさせるお方だな」

「そうなんだー」


「タモツのほうはどうなのだ?」

「んー? 学院では友達もできたし、楽しかったなあ」

「その……、イルマという女の子がいただろう? あの子とはどうなったのだ」

「ああ。イルマは綺麗になったよ。学院でも男の子たちがみんな好きになってしまうくらいに。ただ、学院は恋愛沙汰によるトラブルを防ぐために恋愛禁止だったんだ。卒業したら付きあってくれとか、結婚してくれなんて言う申し込みはたくさんあったみたいだけど」


「そうではなくて! タモツ自身は、あのイルマという娘のことをどう思っているのかと聞いているのだ!」

「えーっ? どうって言われても、同僚かなあ。出発前にイルマが僕のことを好きだ好きだって言ってたのは、あれは子供の言うことだったと思っているし……」

タモツはやや眠くなってきたのを感じながら、冴子の問いにそう答えた。

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