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06-11.大商人、新たな任務を告げられる

「災害派遣?」

トラホルンの王都ボルハンに戻り次第、シャザームと共に王宮にかけつけた押井は、国王から意外なことを告げられた。

「そうだ。森本モトイ新日本共和国大統領もすでに承認済みだ」

「飢饉で疲弊したバルゴサに支援物資を送るんですか? 越権行為ではないのですか?」


「バルゴサの正統な王位継承権は余にある」

トラホルン国王ギスリムは力強く言った。

「しかし、恐れながら陛下。これは一種の、いわば侵略行為にあたるのでは?」

「飢えた民草を救うのは圧倒的に正しい。誰から非難されようと構うことは無い」


ギスリムはもう、やると決めているようだった。それならば、押井としては何を言うでもなかった。

「差し出がましいことを申し上げました、国王陛下」

「気にしてはおらぬ。実際、そのような目論見もあるわけだからな」

ギスリムは軽く認めた。バルゴサの王位継承権を主張するにあたって、食糧援助を人気取りに用いようという下心をだった。


「それで、わたくしは何をすればよいのでしょう?」

「異世界自衛隊とともにバルゴサに入り、食糧の配分や運営が公正に行われるように助言してくれれば良い。自衛官たちはバルゴサ語が分からぬだろう。オシイ商会の人員を各所に配置して、通訳などにもあたらせよ」

「承知いたしました。バルゴサの王都ヌーン・バルグだけではなく、地方にも派遣するとなると拠点は最低7か所でしょうか」

「配布される食糧を、何食わぬ顔して何度も受け取るような連中もいるかもしれぬ。公平な配分を心掛けよ」

「たしかに。バルゴサの民は一般には誇り高く実直ではありますが、中にはそういうズルをする人間もいるでしょうね」

押井はうなずいた。


押井の後ろに無言で控えていたシャザームのほうにギスリムは水を向けた。

「我が母いとこ殿、シャザームよ。あなたからは特に何もないか?」

「特にはございませぬ。我が故郷バルゴサへの陛下の温情に深く感謝いたしますのみ」

「さようであるか。押井とともに任に励んでいただきたい」

「心得ましてございます。王陛下」


「して、異世界自衛隊からはどの部隊がバルゴサに行くのですか?」

「第五普通科連隊だ。ハジメの率いるな」

「!? 最前線でバルゴサ軍の民兵を多数殺したと聞いていますが、バルゴサ側の反感を買わないでしょうか」

「あえて、そうするのだ。森本モトイ大統領も、方面総監も賛同しておる」

ギスリム国王は言った。

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