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06-04.元特務隊長、戦争の終結を見る2

3時間後、この戦争は終結した。

岡崎とロトムは投降した親衛隊の二人を解き放ち、アガシャーの死をバルゴサ軍に伝えるように言っていた。その伝令がバルゴサ軍にもたらされて、バルゴサの武将たちは敗北を受け入れることに決めたらしい。

竜王アガシャーという強力な指導者なしに、戦いを続ける気力はもうなかったようだった。


「ふぅ。良かったぜ。まあ、バイアランで戦い抜いたとしても、その後のビジョンが何もないんだろうからな」

「アガシャー王は王都ボルハンを爆撃して、民兵を盾に自衛隊の弾薬を消費させた後に竜騎兵たちを縦横無尽に突撃させる作戦だったのですね」

「ああ。苛烈で残虐だとは聞いていたが、恐ろしい話だ」

木下ハジメは副官の持田と言葉を交わした。


最前線で戦ってくれた隊員たちに声をかけて回り、戦争の終結を告げてはみなと一緒に喜んだ。

異世界自衛隊側の人員の損耗は一切なかった。中にわずかに、人間相手の実戦を体験して精神を失調した隊員もいたようだったが。


と、そこに伝令の隊員が血相を変えてやってきた。

「連隊長、そこにおいででしたか! 大変です!」

「どうした?」

「報告いたします! トラホルン国王ギスリム陛下が、自らバイアランにおいでです!」

「なんだって?」


ハジメは持田を伴ってギスリム国王を出迎えた。

「いったいどうしたんです、国王陛下?」

「おう、ハジメ。ちと、バルゴサの武将たちと顔合わせをしようと思ってな」

「敗戦の将たちを辱めようなんてことじゃないでしょうね?」

「余をなんだと思っているのだそなたは。そうではない。余こそがバルゴサの正統な王位継承権を持つものなのだ」

「え?」


「みだりに見せるものではないのだが、お前には友人として見せておこう。これがバルゴサに長らく伝わってきた<玉璽ぎょくじ>だ」

胸元から革ひもでつるされた皮袋を取り出して、ギスリム国王はその中から水晶のような材質で出来た、ほんのり光る印章を取り出してみせた。ハジメが確認した後にすぐ元に戻してから、

「バルゴサの武将たちに見せれば、これが本物であるとすぐに知れよう。バルゴサでは玉璽は内乱で失われたと伝えられているようだが、我が伯父を通じて母に伝わり、それはいまこうして余のもとにあるのだ」


話についていけずにハジメは最初戸惑っていたが、やがてギスリムの思惑に考えがいたった。

「ギスリム陛下、あんた、最初から俺たち自衛隊を利用してバルゴサを国盗りする目論見だったんだなっ!?」

ハジメはギスリムをにらみつけた。

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