2.本気の素材集め
2.本気の素材集め
素材集めのために来た森は、危険ダンジョンに認定されているが、俺にとっては都合のいい場所だった。
なぜなら、レアモンスターの出現率が高く、モンスターがドロップするのはレア素材・アイテムばかりな上に、高レベルなモンスターしか出現しないため、あまり人が立ち入らない。つまり、目立たずに本気で戦うことができる。この森は、俺が勇者パーティーにいた頃からのお気に入りスポットだ。最近は忙しく、あまり来れていなかったからか少し懐かしく感じた。
数分歩いていると、何mか先の茂みの中から五体のファイアラビットが出て
きた。俺を認識するや否や、一気に襲いかかってきた。小型モンスターなだけ
あって素速い。目にも止まらぬ速さで近づいてくる。俺は鞘から剣を引き抜き、
左に構えた。
さぁ、戦闘開始だ。
「【フォアサトゥ】!!」
俺は予見魔法で敵の動きを確認し、体を回転させながら攻撃をかわす。体を半
回転させ敵に向き直り、近くにいた三体に向かって有利属性で攻撃する。
「【ウォーターギィヴ:ソード】!」
水属性が付与された剣は、三体の体を貫き、消滅させた。残りの二体は仲間の死もお構いなしに突進してくる。それを横にかわし、俺は容赦なく二体を斬り、消滅させた。ふぅ、と一息ついて、剣を鞘にしまうと、ドロップアイテムを確認する。
「(まずまずだな…)」
アイテムをマジックスペースにしまい、俺はもう少し素材集めをすることにした。
しばらく歩いていると、今度は前方からディーストオックスが二体突進して
くる。
よし!これはラッキーだ。
魔獣は、モンスターと違い死体が残る。そのため、町付近などでは、死体処分が面倒なことや気性が荒くすぐ人を襲うことで嫌われている。だが、そっちから向かって来てくれる上に、死体が残るため食べられるし美味しい(中には不味いものもあるが)ため、一部の冒険者からは好かれている。
ラッキーだと言うのは、ディーストオックスはとても美味しい上に、現在買取
価格が高いためである。
一体は売って、もう一体は食べようか。いや、どっちも食べるか…?でも金は欲しいし…
そんな考えを巡らせていると、敵はもう間近に迫っていた。俺は、よだれが垂れそうになるのを抑えながら、敵に立ち向かっていった。
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気がつけば、昼だったのが夕方になっていた。時間を気にせずに戦っていたものだから、夕日を受けるまで気が付かなかった。集中力は意外と長続きするものなのだなと実感した。
ここは町から遠いので、もう帰ろうかとも思ったが、俺はある場所に寄っていくことにした。
ここは、俺のお気に入りスポットであると同時に、思い出の場所でもある。今向かっているのが、その思い出の場所だ。
その思い出とは、俺が冒険者になる三年前、そう、10歳の頃のこと_____。
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