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ヴァルハラ・シンドローム  作者: 織原 直
第三章・イグニスと妹
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それぞれの決意

ノーム視点


 意識が断続的にちぎれて暗転する。


 目覚める時はまた病院のベットに違いない。


 小夜は、目の前にの綾瀬が消失したことで、その場で崩れ落ちた。


どうしてこうなってしまったのだろうか?

先に裏切ったのはどちらだったろう……


 目の前の綾瀬の正体に気づいたとき、私はとっさに彼女に武器を向けた?


 もはや曖昧な記憶、でもあの時は、お姉様、嫌ーー七瀬さんを助けなければと思ったのだ。


 あの状況で正確に誰が敵なのかを判断するには、情報が少なくて私にはわからなかった。 だからだろうかーー失望した綾瀬から、攻撃の対象と認定されてしまったのは、私自身の為なのだろうか?

 わからない。 わかるのはすごく悲しいことだけだ。


涙が頬を伝っていく、何に対して泣いているのか、もうそれすらもはっきりとはわからない。


 黒いヴァルキリー憎しみと像をに支配されている。綾瀬はとても苦しそうだった。

 ならば助けてあげなければ。私には、彼女が何でああなってしまったのかわからないし、

 彼女を助ける力もないのだけど、トモダチが苦しんでいるのに、見捨てることなんてできないから!


 ぐっと握りしめた拳から出てきたのは一枚の手紙ーー一言ごめんなさいと、差出人は美奈坂七瀬のものだが、もはやそれを信じるほど愚かな私ではない。


 くしゃくしゃになった紙には、くっきりとありがとう書いた跡が残っていた。鉛筆でこすれば浮かび上がる程度には、跡が残っている。


 綾瀬は私をだましたかったわけではない。きっと悩んだ末での結末ーー理由があるはず。

 最愛の姉を手にかけるほど凶悪な何かが、彼女を蝕んでいるのだ。



 イグニスは先ほどまで倒れ伏してはいたが、すでに立ち上がってこちらを見ている。

鎧こそ装着していないが、その所作はすでに、ある程度の回復していることを物語っていた。


「それで貴女はどうしますの? こちらに手を貸していただけるのかしら?」


 ただ誰ともなく虚空につぶやく…………


 イグニスは思う、ヴァルキリア・ブリュンヒルデは確かに最強のヴァルキリーだ。

 確かに青いがいても勝つのは難しいかもしれない……


 だが、彼女には美奈坂綾瀬は、まだ成長段階の少女だ。

 才能があるわでも、現状突出した能力値を発揮しているわけでもない。



 そもそも、あのヴァルキリアはどうして彼女についているのか?


 ヴァルキリア・シルフィード、考えられる容疑者の一人は奴だろうか!?

 あっさりと七瀬を裏切った上にこの展開は話ができすぎている気がする。


「気に入りませんわね。 舞台の上で踊るのは趣味ではありませんわ」


イグニスは戦士であり、富豪令嬢だ。

 プライドの高さも人一倍であり。それ故に他人の舞台役者になどになって踊る気はない。


 勝利こそが彼女の生きる道……例えそれが脚本の一部だとしても、ここで彼女の敗走はしない。


 ーーなれば勝利だ。 可能性があるならば、なんであろうと使ってみせる。

 思い浮かぶのは翡翠の少女ーー


「自分が自分で嫌になりますわね……」

 

 ぽつりとつぶやく。


 小細工を弄するなどイグニスのやり口ではない。

 だが、何をしてでも勝利すると言う気概、誰の脚本だか知らないが、

 思い通りに道化を演じるつもりはない。


 本気で戦ったイグニスには敗北の選択肢はない、筈だった……

 だが、圧倒的に相手の方が優位だとしたら?


 笑止ーーだとしてもイグニスは止まらない。

 本気で戦えば勝つのは自分だ!


 長い髪を翻して、イグニスはその場を後にした。

 後に残るのは倒壊した校舎のみ、余波だけでも、すでに廃墟となっていた。


 後に残された、翡翠の少女は己にへと問いただす。

 私がつくべきなのはどちらかと、決まっている。

 取り戻すのだーー大切なものを。




 また一人、少女は決意を胸に、その場を後にする。



 残るのは静寂のみが支配する、暗い夜の闇だった。


風邪引いたのと、ほかの名義で書いてる小説が楽しくて止まらなくなっちゃってストックがまた心配に、まあ行けるところまで公開していきます。

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