イグニスvsノーム
イグニス視点
急に襲い掛かってきたヴァルキリー・ノーム。 やはり敵になるか?
話をするのが目的だったとはいえ、彼女の意識はこちらへと向いてはいなかった。
その変質が妙だった。
イグニスは推測する。この人畜無害そうなヴァルキリーは常にだれかの指示に従って動いている。 七瀬と一戦交えたことも、その後急に敵側として現れたのもおそらくはウンディーネの指示だろう?
ならば叩き潰すまでだ! 彼女を倒すのは容易いだろう。 情報は無理にでも吐いてもらう。
イグニスは火球を生成する。
フレイム・スピアー!
イグニスにとっては初歩の技――だが、効果は絶大だった。
おそらく精霊と契約して間もない意志の力だけで、精霊の力を操るまでに至った彼女は、だが、しかし、圧倒的に戦闘経験が不足していた。
七瀬とは違い鈍足重武装タイプのノームには私の豪火球は早すぎたのだろう。
簡単に、体を燃やされながら酸欠に喘ぐ。
ノームにを哀れみを感じながら、イグニスは手を緩めることがない。
勝敗はすでに決している。
だというのに折れることのないノーム――
ノーム視点
炎の豪火に焼かれながらノームは酸欠に喘ぐ。 声にもならない悲鳴が上がった。
私は負けるわけにはいかない!
ここで負ければお姉さまに二度と会えない気がした。
不毛な挑戦。 無敗と炎帝と噂されるイグニスに私如きが勝てる要素は見当たらない。
だけど、ここで負けるわけにはいかないのだ。
燃え尽きた普段着から戦闘装束へと姿を変える。 目立たないために、普段はヴァルキリーになるたびに着替えていた。
燃えつきた三つ編み、割れた眼鏡が外れ新緑のドレス姿の可憐な少女――に見えるだろうか?。 誰よりも愛されたいと願った。
お姉さま。いや美奈坂七瀬に愛されたい願った。
彼女はかわいいものが好きだと聞く?
それが顕現したのが、精一杯かわいらしくあろうと、清楚な顔立ちに、精一杯の高貴なドレス姿のヴァルキリー新緑色をイメージカラーとする私の本来の姿だった。
自分を偽るのをやめる。 私は誰よりも美奈坂七瀬に愛されたい!
それは偽らざる思いであり、私がヴァルキリーになった動機であり尊い願いだった!
料理が趣味だ。 私の武器はなんでもないフライパン、だが、何にでも姿を変える。
今宵ここに、――美奈坂七瀬の騎士として答えよう。 これが私の本気だ。
レイピアを携える。 深窓の令嬢――それが私のなりたかった自信の姿。
目立ちたくないなんてただ、愛されなかったときに残した一抹の言い訳(残り香)に過ぎない。
今なら言える、私は誰よりも愛されたいのだ!
レイピアを構える。 願いを胸に。 岩の弾丸を伴う刺突を見舞う。 今までの武骨な杭での攻撃ではなく手数と速さに訴え多連撃――本来の私はスピード特化型のヴァルキリーだった。
イグニスはわずかに後退した!
だが逃さない――レイピアを構えなおして、岩から岩へと飛び移り変則的な動きで突進する。 渾身の一撃は杭の時と同じ必殺の刺突――ロイヤル・ブリリアント・ピア―ズ!(高貴なる多連小剣突き)
一戦する間にダイヤのブリリアントカットのように、数連撃を放つ。
ノームのヴァルキリーとしてダイヤをあしらった意匠から繰り出される多角的な連撃はまさにブリリアントだった!
これには流石のイグニスも後退した。
「聞いていたより全然お強いですわね!? ええ、それがあなたの本性というわけですわね。 いいですわ。 こちらも滾ってきましてよ? 全力でお相手してあげましょう!」
余裕の物言いが癇に障った。 今の私は強い。 誰よりも? お姉さまだって守って見せる。
「ダイヤの剣線貫きます! 負けません!」
今までの適当な技はすでに私にはない。ダイヤの輝きを伴う多角的な屈折現象によって引き起こされる。 多角突きこそが私の武器――!
対するイグニスは? 焔の鎧に身を包んで叫んだ。
「唸れ業火よ――! 必殺――フレイム・スピ―アーズ・フルブースト(最大出力)」
膨れ上がる業火はこれまでの比ではない。 そう彼女の本気だ。
ぶつかり合っては勝てない!? ならばどうする回避か? いや無理だった。 そこまでのスピードを持ち合わせてはいない。
まともに業火に焦がされながら、声にならない悲鳴を上げる。
勝てなかったでもほめてくれますよね? ホンモノのお姉さま。
最後の一行は自分でも意味不明だった。
成果が出ないのにほめてくれる相手なのだ私のシスターは?
最近はテンションが低く思うように筆が進みません。 ちょっと、控えめに言って全然作業が進みません。・・




