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ヴァルハラ・シンドローム  作者: 織原 直
第二章 ヴァルキリー狩り襲来編
63/94

決戦開始

 トールが嗤った――戦闘開始だ。


――先に動いたのはイグニス――、ランスがから業火を溢れさせ、一撃での勝負を決める。


 フレイム・スピアー(紅い刺突)――イグニスにとっては初歩の技だが、大抵の相手はこの技に屈してきたのだ。

 強すぎるイグニスには敵はおらず、故に敗走もない。


 本気で闘う事などまれであった。 七瀬――いや、シルフィード相手の闘いでも本気だったかと言われればノーだった。


 作り出された、炎の槍は敵を穿つ――はずだった。


 ――がトールの間に生み出された。水のシールドは、事もなげに、それを阻害した。


 無論ダメージはゼロにならない――彼の頑強な肉体は単純に高熱に耐えた。


「その程度か――イグニス――!」


 猛り狂う、トールは徒手空拳――雷をまとった拳を、振りかざすと一直線にイグニスへと跳躍した――!




七瀬視点



水のヴァルキリーが逃げ込んだ先で交戦を続け、たどり着いたのは病院の地下だった。


 ヤツは、まだ近くにいる。ホール部分のどこか、大きさとしてはたいしたことないが、決して戦えなくはない広さだった。


 数十メートルあるかいうホール、吹き抜けなどではないために天井が低い。

 闘いにくさをかじるとすればその点だけど、――相手の得物はダガーナイフ。

対するこちらもイグニスのような長物ではないので、今回有利不利はないはず?


 と思った矢先――溶けるように天井が水没した。なんだこれはと思った瞬間には地面も崩れて水になっていく。


『どうやらこれがヤツの狙いらしいな。

 下のエリアで、決戦と言ったところだろう?』


 下のエリアに落ちるように着地するが、そこは、一面が浴室――

 プールのような小さめの浴室が広がっている。


 ヤツは地面に潜れるんだから、わざわざこんなところに来る必要があったの?


『ヤツは恐らくウンディーネのヴァルキリーだ。得意とするのは本物の水場だ。

 どちらにしても地の利はヤツにあるぞ、

 水場ではステータスがランクアップするのは確実だ』


 追い詰めたつもりが、誘い込まれたって訳ね?


 いいじゃない。やってやろうじゃないの!?


『いや、ここでの君の任務はあくまでも足止めだ。 イグニスが、葵を救出するまで粘ればいいだろう?


 誘い出された状況から見て、君の状況は不利だ、 前回は葵を強奪するために見逃されているが、次はそうではすまないぞ』


 まあ、今回は冷静に行こうかしら………いつも短絡的思考で動いて最近痛い目を見た気がする……



 トールの拳を、ランスで受け流す。 だが、雷撃をまとったそれは、感電のダメージを伴って、イグニスに激突する。


 イグニスの耐久力も相当な物であり、完全ダメージだけではまず決め手にならないが、確かにダメージが蓄積していくのは、拭いきれない事実だった。


 相性不利――相手のイグニスに対する、対策は完璧と言えた。

 炎を操る。イグニスでは水と雷を操る彼とは相性が悪い。

 

 彼のような己の力に陶酔するタイプは本来は誰の下にもつかないだろう。

 とイグニスは考えている。


 彼はイグニスに勝つためだけに、汚名をきてでも勝ちを取りに来たというわけだ。

 それだけの熱量を帯びた拳は言うまでもなくすさまじい。


 不利を感じるイグニスは、

 しかし引くことはない、彼女は負け戦は基本的にしない主義なのだ。

 だが、ここに至って、胃追い詰められているのはイグニスか!?


 答えのでない疑問を彼女は覚える。 連戦錬磨のヴァルキリーであっても、相性不利である上に、二つの能力を生かせる。 トールには分が悪いと言えた。


 現に彼の拳は雷と同時に水流をともなっており、衝突するたびにに水分をまき散らす。

 その水分を通して、感電のダメージがイグニスに発生する。


 属性共振 -エレメンタル・シンパシーこそが彼の切り札らしい。


 これなら安全かつ、最適なダメージを相手に与えることができる。

 いわばいいとこ取りのヴァルキリーだった。


視点変更したくなかったので、前回をもう少し長くすべきだったかなあと?

さて、2章最終戦ですね。

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