イナズマ
高評価、ブクマ、感想よろしくお願いします。 否定的な感想だとへこみますが……
それから数日が過ぎた朝。
朝から雨がシトシトと降り、気分を沈鬱なものにする。
光が差し込まない教室の窓から灰色の空が一面に広がっている。
「おはよう七瀬……」
「どうしたの葵なんか元気ないみたいだけど、なんかあったの?」
珍しく覇気がない葵にこちらから話しかける。
「うん、ちょっと最近体調悪くって、寝不足だからかな、あはは」
「そう、なんか悩み事があるなら相談してよね。 私達親友なんだからさ」
「ありがとう、でも、本当にたいしたことないから……」
その日の葵の態度は明らかに変だった。 こう言うはっきりとしない葵の態度は珍しい。
坂崎ならば、いつも挙動不審気味なところがあるので気に止めないところなのだけど。
まあ、葵はしっかり者だから、心配することでもないだろう。
ホントに大変なときは相談してくるだろうしね。
その判断が、後々はなしをややこしくするのだが、このときはまだ知るよしもない。
その日の昼休み。
昼食を食べ終えた私は、瀬川会長に呼び出されて生徒会室にいる。
人払いをしているらしく、周りには誰もいない。 昼休みの学校には不釣り合いなほどに閑散としている。
「昨夜ヴァルキリーに襲撃されましたわ」
「でっ、勝負はどうなったのよ?」
「相手が思いの外強くて苦戦いたしましたわ。
葵に呼びかけてあなたを差し向けてもらおうと思ったのですけど、彼女応答しませんのよ。
おかげで相手を取り逃がしてしまいましたわ。
もう少しのところでしたのに、ああ口惜しい」
「で、そいつはどんなヴァルキリーだったのよ。 精霊とか攻撃方法見た目とかは?」
「自分でイナズマとか名乗っておりましたし、電撃攻撃主体とした男性のヴァルキリーでしたわ。
でも、私の精霊はそんな精霊は聞いたことがない、といいましてよ
一応、注意しておくことですわ。 あなたでは勝てるか微妙な相手でしてよ」
そうそれは昨日のことだった。 夜の公園でのことだ。
夜の公園に影が落ちる。
向かい合うのは、紅い深紅の騎士と、ライダージャケット膠のパンツ、痩せた長身の男だ。
騎士は手に長物を持っており、対する男は対照的に徒手空拳――
武装面だけで言えば、騎士は圧倒的に優位であり、負ける要因ほぼ見当たらないように思える。
だが、騎士は女性であり、その点だけは、痩せた男性の方が有利といえるかもしれない?
あくまでもこれが一般的な闘争に限ればの話だが――
しかし、これがヴァルキリー同士の闘争ならば話は別である。
既に数十回激突を繰り返しては、決着はつかずに両者は離れる。
決着をつけるには、切り札を切るしかない――先に動いたのは、男の方だった。
「行くぜ、イグニス――! 我が永遠の宿敵よ――!」
その首もらった、イナズマ世吠えろ――! トール・ハンマ(雷神の鉄槌)――!
いきなりの必殺技に、しかしイグニスは動かない、冷静にその一撃をランスの峰で受け流した。
再び距離をとる二人――
「どうしたのですか、今日はその程度ですの? 雷神トールの名が泣きますわね?」
挑発するイグニスに対して、男は冷静に対処する。
「解せないな――、ヴァルキリー・シルフィードなる新人に負けたっていうから、アンタも焼きが回ったのかと思って、修行をやめて様子を見に来てみればこれだ。
「弱くなってなくて、安心はしたが解せないね。 お前が、新人に遅れをとるはずがないだろう?」
「どうしてでしょうね? これでも負けたというのは本当ですわよ」
「俺以外に倒されておいて、そのうれしそうな顔、気に入らないね。
アンタを倒すのは俺――イナズマ事、ヴァルキリー・トールをおいて他にはいねえよ!?」
「まさかアンタ手加減したっていうのか、相手に華を持たせたから、それほどの余裕って訳か、無敗の紅騎士様が聞いてあきれる。
何なら、俺がこの場で倒してしまうわけだが、二番手になるのは癪に触るが、本気のアンタを倒せるのが俺以外にいるとは思えないね?」
「私がいつ本気で、貴方と戦ったと思いまして?」
「テメぇ、減らず口をたたくのはいい加減にしてもらおうか、俺はヴァリキリー・トール、雷神トールだ、精霊のスペックだけなら北欧神話随一、手加減してただと、ふざけるな!?」
「あらイナズマではなかったのですか、ヴァルキリー・トール? イナズマは通り名のほうでしたか? まあ、どちらでもよくってよ。
来ないならこちらから行きますわ。
いでよ業火よ――うがちなさい斬罪の炎よ、焼き尽くせ、フレイム・スピアー(紅の贖罪)」
吹き飛ばされるイナズマ。 確かに二人の実力は伯仲しているもののイグニスが一歩上をいく。
勝負がつく頃には夜明けになっているかもしれない。
にらみ合う両者の激しい戦いの中で、夜の帳が堕ちていくのだった。
補足、イグニスは、相手はヴァルキリー・トールが相手で以前から何度か戦闘していますが、この時点では七瀬には、あまり詳しく教えてこないという設定になっています。
別にそこに大きな伏線とかはないのですが、まあ、そうしたいなあと思っていたので。




