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ヴァルハラ・シンドローム  作者: 織原 直
ヴァルキリー覚醒編
23/94

坂崎3

 しっ、しまった! 持ち出してきた画像に、あからさまな反応してしまった。


「心当たりがあるって顔してますよ、三奈坂さん?」


 まるで犯人を追い詰める少年探偵のような口調で坂崎が私を問い詰める。


「なっ、なんのことよ、そ、そのコスプレ女が私となんの関係があるって言うのっ! はっ、初めて見るし、しっ、知り合いでも何でもないんだけどっ!」


「じゃあ、なんでそんなに動揺するんですか? どう見ても今の三奈坂さんは挙動不審ですよ」


「だっ、だったらなんだって言うのよ! 見たところその女の子はかわいいし、私とはどこも似てないじゃないのよ。 どの辺が私だって言うのよ、ええっ!?」

 自分で言っていて悲しくなるよ、よよよ……


「た、確かに普段の三奈坂さんはちょっと地味だけど、でも美人だし……けっ、決してかわいくないってわけじゃない……と思う」


 一人で落ち込み始めた私を坂崎が必死に慰めてくれる。

 お世辞まで言っているが、しかし、聞き捨てならない。 地味だけど、地味だけど! 地味だけど!? 誰が地味でかわいくないだと。 もういっぺんいってみなさいよ!


「そうよ私は地味で目立たなくて、かわいらしくなんかないわよ! なんだっていうのよ。 あんた結局何が言いたいわけ!?」


 なぜかぶちキレモードでわめき散らす私。 こいつは言ってはいけないことを言ったと思うのだ。 女の子捕まえてあろうことか地味だと、気にしてることを!


「ちっ、違いますよ。 別にそういうわけじゃ、それにほら普段の三奈坂さんにもシルフィードの面影はありますし」


「あんたなんかに地味女の何が分かるの! 人が気にしてることを散々言ってくれたわね。 だいたい私にシルフィードの面影があるんじゃなくて、シルフィードに私の面影があんのよ! あんた私を誰だとおもってんのよ!? 殺すわよ! 言うに事欠いて私が地味だと! 許さない!」


 先程までに鬱々しくなっていた私の頭がその反動で沸点を超えて逆上する。

 言わなくてもいいことをたくさん言ってしまった気がするが、もはや冷静ではいられない。

 私の頭は暴走しやすいのだ。 駆け引きや権謀術数は苦手だ。


「ごめんなさい、でも三奈坂さんは何もそんなに落ち込まなくても、化粧してウィッグつければあんなにかわいらしくなるんですし」


「なるわけないでしょ…… あんたが信じるかどうかは勝手だけど、あれは変身してんのよっ!


 美容整形もびっくりね、ヴァルキリーになれば誰でも美少女になれますよって感じにね! おかしいでしょ!? 私変身ヒロインだったのよ、あは、あはは、あはははは!」


壊れたように哄笑する。 私は美人ではあるものの、地味女であることを世界で最も気にしているのだ。 だから、それを笑うやつは誰であろうと、許さない!


 色々意味でキレてしまった私を前に坂崎が目を丸くしている。

 とうとう頭が残念なことになってしまった人に向けるような、蔑んだ目で視てくるに違いない。


「じゃあ、あのイグニスって言う美少女キャラもその変身ヒロイン、ヴァルキリーなんですか?」


 しかし、なぜか目を輝かせながら聞いてくる坂崎にヴァルキリーと言う存在について洗いざらい話してやった。 どう参ったか! フフフ、見るがいい私は妄想的だろう。

 しかし、イカれた私を前に坂崎は微塵も落胆した様子などなくこう言った。


「それだったら、僕が三奈坂さんに協力します。

 実は僕変身した三奈坂さんが、そ、その……すごくタイプなんです。


 そっ、その、実は三次元の人にこんな思いを抱くのは初めてなんです。

 下僕でも、パシリでも何でもやりますから、僕をそばに置いてください! 何でもしますから」


 今何でもするって言ったね? というのはともかく、なんだこれは!? これはあれか、愛の告白というやつか? しかし、素直に喜ぶには突っ込みどころがいくつかある。


「三次元の人っていったわね。 もしかして二次元キャラが俺の嫁とか? あんた重度のオタクなんじゃないの? 僕立体的な人に興味ありませんみたいな」


「確かに昨日までそうだったんですけど、シルフィードを見てから三次元にも目覚めたんです! そう、それは感動的な瞬間でした。 運命って本当にあるんですね」


 まあ、私もオタクっぽいところがあるから分からなくはないんだけど、こういう人を目の当たりにすると正直ちょっと引くかも?


「じゃあ、今のシルフィードでも何でもない三奈坂七瀬について、どう思ってるのかいってみなさいよ」


「えっ、えーっと、ほら、普段の三奈坂さんもツインテールにして―――」


「だが断る!」


 こいつの言いたいことは分かった。 要するに変身したときのあのオタク受けする、萌えキャラぷっりに萌えているわけだな。 そんなものを愛とは認めない。 断じて。


 普段の私相手では何も感じないと、つまるところそういうことだ。 なんだか期待して損した。

 ――ってか坂崎相手にドキドキしてたんだ私は。 まあ、あれだ相手が誰であろうと告白されれば多少はドキドキするわけで、例え相手が女の子だったとしてもこうなる。


「それで協力の話ですけど…… 何でもしますから、僕も手伝わせてください」


「なんで私があんたなんかを手下にしなきゃならないのよ! 近寄らないでよ、キモイわよ、このキモオタ!」


「ガーン!」


 坂崎が私の罵倒を受けて落ち込む。 フフフ、さんざん私を困惑させてくれた罰だ。

 三次元の相手に初恋して翌日に玉砕、失恋の苦しみとくと味わうがいい。

 さてと、馬鹿は放っておいてさっさと教室に戻るとするか。

 私の言葉の刃に胸をえぐられた坂崎が放心しているが、私の知ったことではない。

 私を地味だと言ってくれた罰だ。


 失恋のショック? にすすり泣く坂崎を尻目に教室に戻って席に着く。

 葵が何か言いたそうにこちらを見ていたが、すぐにHR開始を告げるチャイムが鳴り響く。 一時限目を遅刻し教室に入ってきた坂崎は目が赤く腫れている。 ちょっとやり過ぎただろうか? 良心の呵責をかんじなくもない。


「坂崎と何があったの? 露骨に元気なくしてて、いかにもなんかありましたって見えるよ」


「えっ、別にたいしたことはなかったけど、私のこととは別件じゃないの」

 一時限目が終わると、即座に葵が今朝なにがあったのかを聞いてくる。


 告白されたので振ったとか答えるのは、坂崎がかわいそうな気がしたので適当にごまかしておく。 まあ、正確に言えば告白を受けたのは私じゃないわけだし。


「そんな風には見えないだけどなあ、なんか怪しいよね。 七瀬も坂崎も」

 という感じでまだ釈然としない葵。 まあ、確かにあの坂崎の落ち込み用を見れば、誰でもそう思うだろう。


「まっいいか、そんなことより七瀬、今日は二人で遊びに行こうよ。 久しぶりに七瀬の家に行きたいんだけどな?」


 そんな話をして再び席に戻るのと、二限目開始のチャイムがほぼ同時になる。


 そんな慌ただしい時間も終わり、あっという間に昼休み。

 太陽が頂点へと昇り、教室の中にもじりじりと日の光が浸食していく。 焼き付けるのは太陽の恩恵だ。 それが少しずつ肌を焼いているのかもしれない。


 いつも通り弁当(母の手作り)を取り出して、机を挟んで葵と昼食を取る。

 それにしても今日の葵はどこか不機嫌だ。 朝の坂崎とのことをまだ根に持っているのだろうか? まさか、葵、坂崎に気があるんじゃないだろうな。


 少し気まずい雰囲気を押し殺して夕食を食べる。

 葵とはポツポツと普段通りの何気ない会話を続けるが、やはりどこか心ここにあらずといった感じだ。 会話こそあれど、あまり心地いいとはいえないまま、食事を終え弁当箱をかたづける。


 何気なく視線を向ければ、葵の弁当は半分程度残っている。

 いつもは私の方が遅い位なのに、やはり様子がおかしい。


「ねえ、どうしたの? 今日はなんか調子が悪いみたいだけど、具合悪いの?

 それとも悩み事でもあるの? ちょっと今日の葵はおかしいと思うけど」


「ええっ!? 別にそういうわけじゃないんだけど、なんかちょってね」


 やはりすぐに目を紛らわせる葵、確実になんか隠し事してるな。

 言いたいことがあるなら、言えばいいのにそれが親友って言う物じゃないの。


「どうしたのよ、なんかちょっと変じゃない? いつもの葵じゃないよ」


 葵の目の前に先回りして問い詰める。 葵は戸惑いながらせわしなく視線を彷徨わせ――

「あ、私ちょっとトイレに行ってくるから!」


「ちょっと、葵―――! まだ話は終わってない」


 教室から逃げるように飛び出していった。 食べかけの弁当が空しく残されている。

 葵のやつホントに何があったんだろう? いつもは怒ることなんてないし、ましてやネクラキャラでも何でもないのに、葵はどこまでも社交的なのだ。


「あの三奈坂さん、ちょっといいですか? 例のことで話があります」


最近深夜ゲームやってしまって、昼まで寝てしまってますごめんなさい。

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