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ヴァルハラ・シンドローム  作者: 織原 直
ヴァルキリー覚醒編
13/94

戦闘準備

 深夜……多くの人が就寝、疲れを癒やしに、闇夜へと落ちる時間帯。

 0時である。 長針と短針が重なり。

 夢という深淵のなかで仮想都市ヴァーチャル・ソサイエティへと船を漕ぐ。


 この時間帯から多くの者が仮想都市へと夢遊病者のようにダイブしていくという。

 こちらからの襲撃を考えればこの時間をおいて他になし。


 深夜でも起きているネットゲーマーとかじゃなければ、必ず坂崎に会えるはずよ。

 まあ、オタク坂崎は寝てない可能性もなくはないけどね。

 それならそれで待ち伏せさせてもらうまでよ。


 私はヴァルキリアを起動し、仮想都市へとダイブする。

明滅する視点、情報が形作るヴァーチャル・ソサイエティに向かって、私の意識は1と0のデジタルデータへと変換される――


 ――分解された意識が再び浮上する時、デジタルで構成された私はその姿を変える。

 目に映る景色は坂崎邸付近の近場の公園――予めここを思い浮かべておいたのよ。


 いきなり敵地にのど真ん中にダイブするのは、いろいろな意味で危険が伴う。

 何事も慎重に行かなければ勝負には勝てないのよ。 準備万端、これ大事。

 冷静な判断力こそ勝利への近道ってね。


 暗い現実の夜を忠実に再現する公園は、はなはだしく不気味な雰囲気をまとって。

 時間帯こそ深夜だが、ここで生活するアバターたちはそれを意識することはない。


 夢の中で日常をトレースするのだ。

 だから、だいたい相手のいる位置もわかるというものだ。


 流石に学校は機能していないので、いるとすれば家の中、インドア派として名高い坂崎ならここにいると考えていい。


 さて、改めて自分のアバターを確認する。

 服装は前回着替えた時の物でなくなっている。 例の黒ゴスロリ服に逆戻りだ。


 黒い光沢を持つ質感が、黒い闇であれ、私の存在を際立たせる。

 所々に走る明るいラインがスタイルのよい身体のラインを強調して、

艶めかしさを引き立てている。 とかいってみる? 


 髪型は言うまでもなく透き通るような輝きを持つ緑色の二本のウェーブラインだ。


「ねえ、なんで服装が元に戻ってるの?」


『ヴァルキリーは個々のアイデンティティを保持する必要がある。

髪や瞳の色そして、髪型もその構成要素の一つだ。


 君がシルフィードとしての姿は既に決まっている。 つまり、いかに服装を変えようとも、必ずその姿になるのだ』


「じゃあ何!? 私はいつも変身するたびに、緑髪ツインテールゴスロリになるわけか、今時アキバにでも行かないとこんなやついねー! 私って超変人じゃないのよ」


 なんて恥ずかしい。 こんな変身願望を持っていた自分が憎い。


「何とかならないわけ? これじゃ不審者も同然、すぐに補導なりなんなりされちゃうわよ」


『どうにもならん。 我慢しろ、いくら目立ったところで、普通の人間には君を捕まえることはできん』


 くっ、憂鬱だ。

 なんか死にたくなってきた……。 こんな格好で地元うろつけるか!

 まあ、誰も私だとわからないんだから、気の持ちような気もするけど。


『では最低限の戦闘方法を教授してやろう。 まずは君の武器を思い浮かべろ』


「武器? 私の武器ってどういうことよ。 何でもいいわけ?」


『ああ、何でもいい。 ただし限度を超えた物は思い浮かべたところで、なにも起こらんがね』


「ちっ、核ミサイルでイグニスを木っ端みじんにしてやろうかと思ったのに」


 私は言われた通りに、ゲームでよく使用するアサルトライフルを思い浮かべる。

 すると――右手にイメージ通りにアサルトライフルが現れたではないか!?

 ずっしりっと来る重量。 細かい部分は勝手に保管されるらしく。


 思い出せなかった細部まで忠実に再現されている。 何となくで想像したため現存するどのアサルトライフルとも違ようだが、それでも十分に精巧造形をしている。

 そのリアルさは引き金を引けば実弾が吐き出される、それが容易に想像できた。


「どうなってんの、これ? 私のイメージが具現化した?」


『ヴァルキリーは各々のシンボルとなる精霊の力―――属性を宿す武器を形作ることができる。


 しかし、君のそのライフルは大きすぎる。 銃器にするならサブマシンガンか、拳銃にした方がいいと思うぞ』


「なんでよ? こっちの方が火力も射程距離も上じゃない」


『ヴァルキリー同士の戦闘において重要なのは、接近戦におけるスピードと体術だ。

 超人的な能力を持つヴァルキリーは、遠くからの銃弾を躱すのことなどわけない。


 ならば重要になるのは接近戦だ。 相手に自分の武器をいかにして叩き込むかが勝負の決め手になる。


 アサルトライフルなどの重火器を装備していては、体術は満足に使えなくなる上に近接戦闘での取り回しが不利だ。 動きを制限する足かせになり得る。


 ヴァルキリー武器には弾切れなどは再現されない。 つまり多くの装弾数も宝の持ち腐れにしかならない。


 銃弾の威力と射程距離に関しては確かに有利だろうが、大型の武器ほどサブウェポンにつぎ込める武装(キヤパ)可能(シティ)最大値(ポイント)も少なくなる言うデメリットもある。 まあ、私ならば最初から銃器などは選ばんがね』


「簡単に言い換えれば、高速で跳んだりはねたりする戦闘が想定される場合において、大型の武器はそれだけで邪魔になるってことね。 でも、キャパシティポイントってなんなの?


『武具につぎ込めるポイントだ。 大型の武器ほど多くの許容量(キヤパシティ)を占有する。


 同時に装備出来る武器の数が、大型の武器ほど少なくなる。 この装備できる武具の許容量をキャパシティポイントと言うわけだ』


 シルフのアドバイスを受け、私は連射速度と携帯性から、サブマシンガンを選択した。

 二丁拳銃というのも魅力的だが、ゲームでの経験上二()()同時()照準(ポイント)は、私にはできないので諦めることにする。


 反応速度の向上している今ならばあるいは可能かもしれないけど、二人同時に相手にするわけではないので、それほど意味がない。


 ハンドガン一丁というのもかっこいいのだが、フルオートであっても連射速度に不満が出ると思う。 バランスと実用性はそんなところだ。


 サブウェポンとしてサバイバルナイフ二本を、両腕の外側に収納する。(鞘がイメージ通りに服に追加される) 残りはハンドグレネード一発が即座に召還可能だ。


 あらかじめ登録しておいた武装を戦闘中、即座に召還することが可能になる。

 事前に登録しておかなかった物はその都度イメージして作り出さなければならないため、戦闘中に行うにはリスクが伴う。


 私のナイフのように常に携帯できる物であれば、召喚時間すらかからない。


「イグニスのランスは炎を吐き出すけど、あれはどうなの?」


『あれは見ての通りの長ものだ、あれだけ大型の近接武器は一つでキャパシティポイントのほとんどを食いつぶしているだろうな』


「火を噴くのは? 正直アレがどうにかできないと戦いにならないと思うんだけど」


『君にしてはいい勘をしているな。 確かに今の君ではイグニスの炎には到底、太刀打ちできないだろう』


「ご託はいいからどうすればいいのかきいてんのよ」


『あれは精霊の力を借りたものだ。 武器そのものに備わっている仕掛けではない。


 今の君はまだ二回目の変身だ。

 それを考慮すると、精霊の力を引き出すのは難しいと思うが?

 集中力――メディテーション次第だ。

 精神力言い換えれば魔力、生命の力だ。

 強力な魔力の加護がヴァルキリーには備わっている。


「魔力って、ずいぶんとファンタジー概念ね。 どうしてそんなものが存在するの?」


『私にも理由は不明だが、ヴァルキリアの中核は魔力によって構成されている。

 ヴァルキリーの強力な身体能力は単なるデジタルデータの数値的なものではない。


 この魔力という力によって生み出されている。

 ヴァルハラ・シンドロームにもこの魔力が大きく作用しているのは間違いないだろう。


 でなければデジタルデータを現実に浸食するなどできるはずがない。

 ただ、魔力の根源がなんであるのか私にもわからないのだがね。


 どういう理屈であれ、使えればいいと言っておこう、とにかく念じることだ。

 後は変身を重ね練度を上げれば自然と使えるようになる。


 ヴァルキリーとしての霊体を身体になじませることで、より強力な魔力を扱うことができるのだ。 そうすれば身体能力全般に対する加護もさらに強力になる』


「でも、あの火球は正直どうしようもないわけでしょ? こちらも属性攻撃を覚えておきたい――というかないと勝てる気がしないわね。 と言っても、無理みたいね。

 私は精神を集中させて、壁を試し打ちしてみたが、ただの物理的破壊以外の現象は視られなかった。


『まあ、今回は情報収集が主な目的だ。 イグニスと戦闘になったらすぐに逃げろ。

 いいな、間違っても交戦しようと思うな。 君のヴァルキリーとしての錬成率では戦いにはならない』


「わかってますよ、それぐらい! 何度も同じこと言わないでよね」


 しかし、負けること前提の作戦というのは気が進まないのよね。

 イグニスのヤツに一泡吹かせてやりたい。


 深く集中する。 言われたとおり、身体の奥底に眠る緑色の魔力を感じ取ることができる。

 ならば―― 銃を構えるが……何も起こらない。


  しばらくうんうんうなってみたが、どうやってもそれらしい変化は起こらない。

 頭を抱えてそうこうしてるうちに、一人の男が公園に入ってきた。


  目出し帽に黒い上下――はい、どう見ても不審者です。


サキュバスの娘より、こちらの小説の方がやっぱり時間かけてる分、評価とかいいのかなあとかちょっと思う今日この頃。 実はもう三作目二手を出しているわけですが、こちらの更新と稼働するかまでは考えていません。

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