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3

前を歩くファンクラブの生徒の背中を見つめる。

慌てふためく志摩と違って、哲平の心は落ち着いていた。


(大体はわかんな…俺を呼んだのは副会長のファンクラブで志摩を読んだのは美化か会長…キーキーうるせぇっての。)


ふいにこの前の事を思い出した。丁度神田に見つかり、自室について来られた数時間前だ。


教室で散らかされた机を整理し、教科書やノートに挟まれた剃刀の刃を震い落とし、さあ移動教室に向かうかと思った瞬間。


小柄な生徒達に囲まれ、一発頬にうけてしまった。


やられた分はきっちり向こうが泣いて逃げるまで口で責め立て追い払ったが…。


「どいつもこいつも盛りのついた猿みてーに…」


「え?」


「なんにも言ってない」


何も言ってないことはない。

が、志摩にそれを言うつもりもない。


(まあ言ったところで余計ぱにくらせるだけだしな…。)


校舎裏、人気も少なくレイプやらなんやら物騒な事するにはうってつけの場所だって事だ。


物騒すぎる。


――ドンッ


「でっ!!!」


「危ねぇな…突き飛ばすなよ」


「じゃあ避けるなよ!!!」


キーキーキーキー、甲高い声で目の前の生徒は志摩と俺を突き飛ばした。

馬鹿正直な志摩はよろけて後ろの壁に背中を強かに打ちつける。


俺はその手をあっさりと避けると冷めた目で生徒を見た。


「たたた……」


「…はぁ…だらしねーな志摩」


「う……運動音痴で…母体に忘れてきちゃったんだよきっと」

無様にしりもちをついている志摩に手を差し伸べる。

志摩が手を掴むと上に引き上げてやった。


日の当たらないせいで地面は湿気を帯びている。

パンパンと湿った土を払い落としながら志摩は情けなく垂れた眉で生徒達を見上げた。


「敷島様に近づくな!!神田の影に隠れて敷島様に近づこうなんて許されるとでも思ったの!?」


「貴方の執拗なまでの執着に水城様は酷く困られています。これ以上水城様の気に障るような事をすれば社会的抹殺をする…なんて考える者が増えます。それは貴方にとってもよくないでしょう?」


「……なあ三山…なんなんだこの対応の違いは」


「当人の品の違いじゃないのか」


敷島会長はパーで、水城副会長はちょっとパーだということだ。


「そうか、そうなのか…三山は正直だな」といいながら志摩は疲れた顔を見せる。


(こんな顔久木が見たらどういう反応すんだろうな…。)


それぞれがお互いの事をそんな風に思っているとは露知らず。

痺れを切らしたファンの生徒が叫んだ。


金切り声を上げながら綺麗な顔を醜く歪めながら、志摩の肩を掴んでその頬を引っ叩いた。


「いいっ!?」


「…志摩、お前は本当に不憫な奴だな……」


厄介なものに好かれ、厄介なものに嫌われ。


不憫というか運がないというか。


「僕達をこけにして!!見下してるのかっ!!お前がそのつもりなら僕達にだって考えがあるんだからね!!」


「もちろん、貴方も例外じゃない」


やけに冷たい目をする生徒。

女のような顔、無表情。


(キモ………。)


ガサ、と奥の茂みから物音が聞こえたのと同時に、体格のいい生徒達が数人出てきた。

テンプレすぎて笑えてくる。



「めちゃくちゃに犯されたくなかったら行動を慎むんだな!」


そういってぱちんっ、と鳴りもしない指を鳴らした。


精々かすん、がいいところだ。


「みみみみみみみみみみみ三山どどどどどどっどうしよう!!!」


「落ち着けって」


「なんでこの状況でそんな冷静なの!?!?」


「お前がてんぱりすぎなんだよ、予想できる事だろ。それに…お前のストーカーがこんな時に役に立つようになってんだ」



―――ザッ、ザッ、ザッ、



「テメェ等…そいつに毛一本の傷でもつけてみろ、全身骨砕いてコンクリ漬けにすんぞ」


「ちょっと!!そんな所で何やってんの!そいつは僕の可愛くて最高の友人の友人だぞ!!」


「………こ、れも予想、か?」


「……てんぱっていい所だぞ志摩」


ストーカー=赤井の図式のはずが。



「ひっ久木!!!!」


「みっ見上君っ」


(…はあ。)


俺は思わずこめかみを押さえた。


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