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クローバーのお届け物  作者: 白夜
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プロローグ01

何を書きたいのか既にわかりません・・・

例え話をしよう。例えば登山家がいる。彼、もしくは彼女は山に登ることを目的とする。彼らの夢がエベレストの踏破だとして、その夢が叶った時彼らは同じ道を歩み続けるのだろうか?


例えば冒険家がいる。人類未踏の地へいき古代遺跡を見つけることが夢だとする。しかし、今では人類未踏の地を探す方が難しくなっている。()()()()()()()()()()()()()()()、冒険家であり続けることはできるのだろうか。


どちらも形式上その立場でいることは可能だが、きっと情熱がないとできない仕事だろう。情熱が冷めた時、自ら名乗り続けることはできるのだろうか・・・また、先が見えなくても情熱を持ち続けられるのだろうかーーーーーー



目覚ましを止めようと手を伸ばすが、近くにはないようだ。無意識に止めてしまうから歩かないと止められないところに置いているからだ。そのせいで家族からは朝うるさいと苦情が来るが仕方ない。朝起きることくらい1人でやれと言われるのであるから、目覚ましの騒音くらい見逃して欲しいものだ。


古典的な目覚ましの音だが、この音をいつまでも聴き続けたいと言う人は少ないのではないだろうか?かく言う俺もその例に漏れない人種であり、眠気よりも不快感が勝り観念して目覚ましを止めるために立ち上がることにする。一度起きてからまた寝るのは魅力的ではあるが、平日である今日そのようなことをしてしまうと遅刻確定なのでこのまま登校の準備をするしかない。皆勤賞、賞に縁がない俺でも取れる貴重な賞だからここは頑張りどころだ。もっとも、そのせいでインフルと診断されていないからと高熱で登校してしまい、学級閉鎖の原因を作ってしまったこともあるがご愛嬌ということで許して欲しい。


朝シャンを浴びながらふと思い出したが、久々に夢を見た。よく覚えていないが、誰かに諭されているような気がしてひどく不快なものであった気がする。自分のことに口出しされることほど不快なことはない。それは俺が高校生で反抗期真っ只中だからと言うわけではない。むしろ反抗期などきてない。家族に反抗しても自分の生活に返ってくるし、教師に反抗しても成績で返ってきてしまうからだ。平常点システム考えたやつ出てこい。教師が好きにできる点数があるとか、絶対に許さない。権力横暴じゃ。


夢の話だ。夢とは記憶の整理と一昔前は言われてきた。寝ている間に脳が1日の出来事を整理する。そのため、徹夜しても記憶として定着しないのはそう言う理由らしい。

しかし、現代では違う理由が解明された。魔術が判明してからは、夢とは記憶の整理だけでなく魔に携わるための素質にもあると言われている。魔力と俺は呼んでいるが、魔力が多い人、扱いに長けている人、潜在的な力を持つ人は夢に現れると言う。占い師なんかがそうだ。もはや未来予知というレベルまで言える世界でも有数の人は自身の力で体を眠りの状態に持っていき、自分と自分の周りの人の未来をみる。いつの未来かわからないが、先のことがわかるということで重宝されているらしい。

俺自身は滅多に夢を見ない。覚えていないだけかも知れないが、最後に見たのは中学3年の時だ。滅多にみないから内容は覚えているようにはしているのだが・・・夢は忘れるもののようだ。少なくとも俺の中では。何か未来が見えたわけではないから、警告に近いのかな?本能では今のままでは良くないと思っているのだろうか?内容はよく覚えていないが、諭されていたことだけは覚えているから、頭の片隅にでも置いておこう。


長い朝シャンを終えリビングに来るが、誰もいない。両親は出張で空けているし、妹は部活の遠征だ。

1人の朝ごはんとなると適当になりがちである。昨日の朝は納豆卵めかぶを混ぜてご飯の上に乗っけたなったまめかぶ丼、夜はスパゲティを茹でてその上に大根おろしとツナを乗せ醤油をかけた和風パスタ。今日は面倒だからチーズイントーストにフリーズされているオクラスープでいいか。


ご飯を食べ終え身支度を終え、学校へと向かう。日常が待つ学校へ。授業は嫌いじゃないし、先生のハゲをいじるのも楽しいし、英語の先生は美人だし、学級の雰囲気もよくこれ以上高望みしてはいけないだろう。

 学校に向かう途中、ありふれた景色なはずなのに違和感があった。朝の夢に引っ張られすぎているのだろうか?いつも通り空を飛ぶ車、交差点付近に設置されている短距離転移用のトンネル、念話つき携帯電話・・・何かが足りないような何かが余計なようなこの感情。いったい今日はどうしたのだろう?そういえばやけに猫が多い気がする。いや、犬もか?あれ、狐なんかこの辺りで見たことないのにいるぞ。これはいよいよ漫画で読んだ柔術家が会場にたどり着けない護身術を身につけてしまったのか?と思いつつくだらないことを考える頭を振って学校へと急ぐ。少しゆっくりしすぎたせいか、このままではギリギリかもしれない。少しだけ走って行こう。学校も運動不足になるから、使えない人に対して平等でないからと転移での登校を禁止しているのはどうかと思う。古い体制を早く崩してもらいたいものだ・・・



 登校したときにはすでに時間ギリギリ。クラスメイトからまばらにおはようと言われながら窓際の席へと座る。高校3年間で出席番号で座るとき以外席替え全てで窓際の席を勝ち取っている。学級でももはや俺がその席に座ることしかないから、みんなその席は俺のものとしてくれている。そもそもくじ引きでそこ以外引けないことを考えると、もはや呪いの類ではないかと担任が笑いながら話をしたくらいだ。呪いでも何でもいい。暇な時に校庭を見つつ、教師から遠いこの席でまったりするのが俺の日課だ。別に成績が悪いわけではないから、教師もうるさく言ってこない。褒められも目をつけられることもないくらいがちょうどいい。


 この日は教室の雰囲気がおかしかった。ギリギリだから詳しく聞けなかったが、みんな浮ついているようなソワソワした空気が流れている。かといって事件が起きた感じではない。何があったのか後でじっくり聞くことにしよう。


 HRの時間になっても一向に担任が現れない。ここ2年半で遅れたことがない担任だったので、みんな想像が膨らむ。俺も時間を持て余すのもあれなので周りに今朝のことを聞いてみる。

「ケイト、今朝みんなソワソワしている感じだったけど、何かあったの?」

「んー、あったっちゃあったけど、ないっちゃないんだよね。カイは今日何ともないの?」

話しかけるのは一つ前の席に座っている鷹嘴京斗だ。え、女子に話しかけないのかだって?家族以外の女子と話した経験ほとんどない俺にそんなことできるわけがないだろ!緊張しすぎて必要以上にどもる!

「質問が大雑把すぎない?何に対して行ってるのかわからん・・・ただ、違和感?は多少あるかな」

「違和感、か・・・高揚感があるような人は多数いるけど、違和感って言っているのはカイだけだね。どんな違和感があるの?ちなみに、質問に答えるなら、みんなソワソワしている理由は特にないらしい。なんかうまくいく気がする、とか新しいことに挑戦したくなったみたいな前向きな感じにみんななってるらしい。」

前向き・・・確かにみんなそんな雰囲気なんだよね。みんないい表情というか浮かれているようにしか見えない。根拠はないけど前向きってなんか怖くね?

「んー、ちょっと不気味だね。でも俺の方の違和感も言葉にできないんだよね。何かが足りなく何かが多いみたいな・・・そういえば今日はやけに動物がいたな。野生の狐なんて初めて見たよ。」

「動物?僕が登校する時にはいなかったんだけどな〜。そもそもこんな街中で動物と会う機会そんなないのに珍しいね。そしてキツネって何?この街にいるの?」

「そりゃいるでしょ。子供の頃先生が写真見せてくれたじゃん。」

京斗が茶化すにしては面白くないことを言ってくるが、緑豊か(田舎)なこの街に当然いるでしょ。

「いや、キツネなんて物語でしか現れない架空の生き物じゃん。見せてくれたって誰先生が?」

「は?狐が物語だけ?狐村だってあるし実在しているじゃん。どうした?」

話が噛み合わない。京斗もとぼけている様子はない。

「キツネ村・・・架空の生き物で村作るとかすごい施設だな。たぬき村は知っているけど狐村は初めて聞いたよ。」

致命的に話が噛み合わない・・・京斗が冗談を言っている様子もないし、とぼけている様子もない。なぜか狐という存在が消えているように見える。


 京斗ともう少し話をしたかったが、そこに担任の剛山先生、通称ゴリが入ってきた。体格がよく筋肉質なため体育の先生と間違われやすいそうだが、音楽の先生である。繊細な発声は筋肉からという名言を残しているが、それ以外は生徒思いのいい先生である。

「えー、学校全体が落ち着きに欠け、少し浮かれているように思える。これは本校に限ることではなく近隣校の先生からも同じような話を聞いている。全員が似たような状況なので病気や魔法の疑いがあるが、現状では命にも健康にも別状がなさそうなのでそのまま授業とする。異変や違和感がある場合にはすぐに申し出ること」

近隣校までが浮かれているってそれはもはや非常事態なのでは?と思ったが口にも表情にも出せずにいた。ゴリの話もケイトの話も違和感しかない。いや、違和感と言っている俺の方がズレているのだろうか?何に違和感を持っていたのかわからなくなった。きっと朝の夢に引っ張られすぎたのだろう。細かいことを気にしても仕方ないから、今日も日常に溶け込むべきだ。そう思い、頭の片隅においやりつつ古典の準備をし始めるのだった。


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