プロローグ
──『王』。
それは国を象徴する者に与えられた称号。
それは国民から支持された絶対的権力の権化。
王に背いた者は言わずもがな処罰される。さながらフランス革命期の処刑よりも酷な風に。
そんな王達にも叶えたい『妄想』がある。
八つの国を制覇し、神に願うことで願いを何でも1つ願いが叶えられるという『願いの種』が与えられるという。
そんな誰もが与えられたら冷静さを欠く魅惑の果実を得んと日々八国は戦争繰り返し、鎬を削っていた。
──だがこの拮抗して拉致の開かない現実に嫌気がさしている独りの男がいる。この男の名は天城リュウ。
この男は労働界級も平凡なごく普通の男。
だが人一倍頭が切れ、運動以外は何でもこなせるほどの秀才であった。ただモテない。念のためもう一度言おう。 本当にモテない。
「………はぁ~。何で今の国王たちはこんな不毛なことで争ってんだろう…」
「……なんでそんなこと考えてるの?」
はす向かいで夕食を食べている妹が当然のように想定していた疑問を問いかけてきた。
「いやぁ本当に八つの国を制覇しても本当に願いの種を与えられるかなんて不明だし、ただひたすらに国民の命で遊んでいるだけではないのかと思ってな」
「ふ~~ん難しいこと考えてるねー 私には全然わかんないや」
「そもそもこの噂は唯一神マキナの神話のお話なんだよ なのにこんなにもスムーズに戦争が起こっているのはおかしいと思うんだよ。」
「なにがおかしいの? サッパリわからないんだけど」
「いやさっき話したとおり国王たちはなんで不毛な戦いをしているんだろうとおもって。例えば、唯一神に願いの種は何でも叶えられるから早く他の王を殺しておいでって洗脳されてたりするかもしれないじゃないか」
「………だったら兄ちゃんが王になって実際に確かめたらいいじゃん」
「…それいいな。 俺が八王国の王になって神の肝を抜かしてやるよ──」
…………世界は思ったより狭いかもしれない