表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/5

第1話

大岩瑠衣(おおいわるい)。7月20日生まれ。東京都出身。16歳、高校2年生。身長160cm。血液型O型。通称・るいちー。




5歳の時子役として芸能活動を始め、4年前、某アイドルグループのオーディションに合格。デビュー直後のシングルでいきなりセンターに抜擢され、『1億人の1億人のよる1億人のための美少女』として話題を博す。また、大のアニメ好きでも知られ、昨年春に放送されたテレビアニメで声優デビュー。また、今年4月からは月1回ながら、アニメの情報番組のMCも務める。現在は人気アイドルでありながら、声優としても活動している。





これが俺、中島寿也(なかじまとしや)の知る大岩瑠衣(おおいわるい)のプロフィールだ。そして、瑠衣は俺の隣に家に住む俺の幼なじみでもある。瑠衣との付き合いは物心がつく前からだった。お互いの両親が全員小学校から高校までの同級生で、そのせいか元々仲が良く、お互い結婚してもすぐ、隣同士の家を買うほどだった。そんな訳で、同い年でお互い一人っ子であった2人は幼い時から必然的に遊ぶことになった。幼稚園の話になるが、一緒にお風呂にも入ったし、お泊まりもしたっけな。


小学校に上がると登下校も一緒になり、学校が終わってからは頻繁にお互いの家まで遊びに行っていた。隣同士だから夕食も向こうで食べた時もあったし、寝る直前までひたすら2人で遊んでいた記憶がある。


しかし中学生になると、瑠衣はアイドルとして活動を始めたせいか、お互い遊ぶ機会は皆無になった。瑠衣がアイドルとして売れるようになってからは、お互いの距離がだんだん遠くなる気がした。瑠衣も仕事に没頭するあまり、帰りは日付が変わるか変わらないかの時刻になり、学校も頻繁に休むようになった。


その2人の距離は高校生になって、さらに遠くなった。なぜなら、俺と瑠衣は別々の高校に進学したからだ。俺が地元の高校に進学したのに対し、芸能活動を優先したい瑠衣は芸能科のある高校に進学。仕事で遠出する時もあって、瑠衣の顔を見る機会はかなり少なくなった。




数日前、俺はそんな瑠衣に告白された。お互い高校生になって1年と2ヶ月。夜遅く、この日も仕事を終えたばかりの瑠衣が俺の部屋まで土足で押しかけてきて、「トシのことが大好き!愛してるの!」とこれから寝るところだった俺に言ってきたのだ。俺はフッた。実は瑠衣のことが好きだというにも関わらずだ。つまりは両想い。アイドルをやっている補正とか関係なしに、瑠衣は可愛い。綺麗に伸びた長い黒髪に、雪のように白く、綺麗な肌。いかにも日本的である端正な顔立ち。『1億人の1億人のよる1億人のための美少女』という愛称が贔屓目なしに理解できる。




しかし『アイドルと付き合うことができる』となると話は別だ。俺がアイドルと釣り合うとは思えなかったし、何よりもアイドルが付き合うというリスクは双方にとってかなりのものだ。瑠衣もそれは分かっているのだろうが、それでも俺に告白してきた。そして・・・




「私は絶対に諦めないよ。誰よりもトシのことを愛してるんだから」




瑠衣のこの一言が、俺の運命を左右することになるとは、この時は誰も知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ