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一日目 約束

 時は2060年。魔法、剣、ドラゴンなどのファンタジー的なものが、続いてきた世界。ここはこの時代の日本。東京都港区。この時代では、魔法、剣は軍事的に利用されており、一般人が許可なしでは使えず、厳罰対象に当てはまってしまう。そんな中、一人の男が魔法を使い、何の罪もない人々に向けてしまった。

「おい!現在の状況はどうなっている!?まだ犯人の特定が完了していないのか?!」警察官達が切羽詰まる勢いで、犯人を捜している。しかし、この時代の警察官における権限は、あくまで国民の安全を第一と教えられている。そのため、魔法を使った犯人を捕まえることができずにいる。死ぬからだ。彼らは魔法が使えない。否、魔法は使えてもできないのだ。警察官でさえ、厳罰の対象に当てはまってしまっている。つまるところ、彼らは肩書きだけの職業と化していた。だが、この時代には、ある機関だけが魔法を使える。

 その名は『ユグドラシル』。国家の法律に基づいた組織である。組織に所属している人間は、2000万人。全世界の人口100億の1%にも満たないが、権力だけなら、他の追随を許さないほどである。そんな彼らは、世界の希望の象徴だ。

彼はリオン。リオン・バスタード。彼のランクはB。この機関には、ランクが存在しており、現場の指揮や作戦の立案、戦闘においての実力が伴ってくる。

上から順に、SS、S、A、B、C、D、Eとなっている。リオンは真ん中位置するが、戦闘のポテンシャルの高さは誰もが認めるほどだ。

「ここは俺たちに任せてください。必ず捕まえてみせます。」

「し、しかし貴方は強いといってもまだ16ではありませんか。未来に託せる若者を万が一でも、死なせるわけには...」

「それを言われるのは些かお恥ずかしいのですが、俺たちは明日の為に戦うんです。人のために魔法を、剣を使うんです。...それでは」

そう。彼は弱冠16にしてランクBの実力者である。これは、ここ日本において

国内最年少の記録保持者だ。彼はまだ、高校生である。警察官が狼狽えるのも無理はない。だが、リオンにはカリスマ性、外国人ではあるが異彩を放つほどの美貌の持ち主。髪はネイビーブルー、瞳はエメラルドグリーン。身長186cmの高身長なのだから、気迫する場面であってもその顔は凛々しい。

「そっちはどうなっている、リナ。」

彼女はリナ。リナ・ヴァーミリオン。15だが、リオンとは同級生である。彼女はハーフではあるがこれまた美しい女性である。髪は艶やかな黒で、瞳は優しい水色で、とても気さくで人懐っこい性格をしているので男女問わず人気がある。なぜか、一部の人間から「赤い天使」と呼ばれている。そのわけは、彼女は武術を修得しており、空手四段、柔道三段、合気道四段とかなりの実力者。それだけではなく、彼女は[炎属性]を使えるからだ。属性とは、炎、氷、風、雷、土、水、そして光と闇の全部で8個あり、彼女は燃え盛る炎の属性を使うのでそう呼ばれている、らしい。(単に噂の話ではあるが。)

「あのね、私はパシリじゃないのよ。一人のレディなんだから、もっと丁寧に扱ってくれない?」

「あ、あぁ、分かってるって。ジャック、そこから狙撃することは可能か?」

「問題ない。僕の射程距離は、最大2kmだ。安心したまえ、必ず仕留める。」

「いや、仕留めるなよ。生かすことを最優先としろ、いいな!」

「冗談なのに、相変わらず信じてしまうとは。その性格、直した方がいいよ。」

「うるさいなぁ、余計なお世話だ。まったく」

彼はジャック。狙撃手で、世界ランキングベスト4にくい込む程の腕前を持つ。フルネームはジャクソン・アーガイル・クロック・キングロプスと長いので、アルファベットに直すとJ.A.C.K、ジャックという愛称で呼ばれている。18で彼らより年上だが、身長が158cmと低いので女性からは、子供扱いされてしまう。が、顔立ちはキリッとしていて、いつも感情を表に出さないのだが、そのせいあってか「リトルスナイパープリンス」という勝手につけられた二つ名を持っている。髪は山吹色で、碧眼。プリンスと呼ばれている最大の理由は顔立ちであった。にも拘らず、実力は確かなのでチームの皆から信頼を寄せられているし、彼も信頼を寄せている。ちなみに、彼の属性は土で、リオンは世にも珍しい風と雷の二つの属性を持っている。二つ以上持っている人は、「ハイブリッドノイド」と呼ばれ、非常に稀有な存在であるため、遺伝子学界では、常に研究対象とされているほど。だが、これまで確認されてきたハイブリッドノイドは、相性のいい属性同士でしか見つかっておらず、悩みの種でもあった。確率としては0.000000001%で、一億人に一人産まれるかどうかという。

「犯人に宣告する。大人しく投降すれば罪は軽くなるぞ。」

「ハッ!その手に乗るかよバカが。誰が投降なんてするもんか」

「うーん...仕方がない。ジャック」

「撃っていいんだな?」

「...あぁ。残念だが。」

「...フゥ。分かった。君の判断に任せよう」

「すまん」

バァン、銃声が鳴り響く。犯人の脳に、ヘッドショットし、そのまま倒れる。

すぐさま警察官が被害者の身柄を保護。事件は解決した。射殺したことによって。

「...すまない。本当は命を奪いたくなんてなかったのに」

「仕方がないでしょ。投降しても、捕まっても結局は魔法が使えなくなる体になってしまうんだもの。...死んだらおしまいなのに」

「けど、ただ他人の命を奪うのも許せない。君はそう前にいったはずだ。リオン」

「.......」

リオンはただ沈黙するしかなかった。この時代では魔法が使えるだけで進路はごまんとある。だが、使えるだけで終わってしまうのは非常に虚しいだけだ。全てのものに必ずといっていいほど才能の差がある。リオンは魔法は使えるが、そこまで強くはない。才能としては、剣にあっただけで今回の犯人のようにはならなかった。分かってはいても手を伸ばして一緒に立ち上がることができないということに、リオンは歯がゆさと、辛すぎる現実の板挟みにされながら、ただ、黒い(とばり)が満ちた空を静かに眺めるだけだった。

 コツコツ、とヒールの音が辺りに響く。

影から現れたのは女性。彼女の目前には、人が一人余裕で入るような謎のカプセルがある。

「あと少し。あと少しであなたに会える。早く、その日がこないのかしら。」

女性は焦がれる。しかし、不敵な笑みを浮かべる。

「焦らなくてもいいさ。あとはあの日を待つだけだ。」

「そうだ。俺たちは、そのために動いたのだからな。」

「つぅかぁ、旦那はあまり動いてないじゃあないっすか」

「そうですよ。結局私達だけでやったことになってるんですから。」

「まぁまぁ、皆そのへんにしておきなさい。あの人の前よ。」

皆一斉に真剣な表情を浮かべる。

右目に傷を持ち、眼帯を着けている男。屈強な肉体を持つ男、ひょうきんな性格のチャラチャラした青年、一つ一つの動作に可愛らしさを感じさせる少女。そして、不敵な笑みを浮かべた女性の計五人。

リオン達が日々の生活を送っている裏で蠢く影。約束の日とは...。

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