エピローグ
オーガの襲撃から半年が過ぎた。
「本当に行っちまうんだな?」
「ああ、元々長居する予定は無かったしな」
「・・・・・・そうか」
俺とアイは再び旅に出ようとしていた。現在、村の入口の前には俺とアイを見送りにイエーガーとジャックとマヤの三人が来ていた。他の村人達はそれぞれ、狩りや農作業などに出て忙しい。
ジャックは何処となく残念そうにしている。まあ、俺も短い間だったがこの村の連中とは浅からぬ絆の様な物を感じている。恐らく、ジャック達もそうだろう。
「ドラクル、また何れこの村に来いよ!!」
「ああ、また何れ」
また何れ、この村に来よう。そう、約束を交わす。何れ、また・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「マヤも、また何れ―――」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・マヤ?」
「―――――――――っ!!」
瞬間、俺の視界一杯にマヤの顔が映った。一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。
しかし、すぐに理解した。俺はマヤにキスされたのだ。アイやイエーガー、ジャックが目を白黒させて俺を見ているのが解る。
「・・・!?・・・!!!」
俺は柄にもなく混乱していた。すっかりなされるがまま、深い深いキスをされる。
しばらく後、ようやくマヤは俺から離れた。不覚にも、未だ俺は混乱している。
「ドラクル、貴方と一緒に過ごした日々は私にとって夢の様な日々でした」
「あ、ああ・・・・・・」
微妙な笑顔で頷く俺に、マヤは満面の笑みを浮かべた。
「今までありがとうございました。貴方の事を愛しています」
花が咲く様な笑顔だった。
・・・・・・・・・
「良かったのか?マヤ。ドラクルに付いて行かなくて」
ドラクル達が旅立ち、立ち去った後、イエーガーはマヤに問い掛けた。その表情は純粋に娘を心配している様である。これも親心なのだろう。
「良いのです。あの人は私に充分与えて、残して行って下さりましたから」
そう言って、マヤは腹部を優しく撫でる。それは、まるでお腹の中の何かを労わる様な。
その姿に、イエーガーもジャックも目を見開いて驚く。
「マヤ、お前・・・・・・」
イエーガーの心底驚いた声に、マヤは心底幸せそうな笑顔を返す。
・・・・・・・・・
「良かったの?マヤを置いて行って。マヤのお腹の中には・・・」
道中、アイが俺に心配の視線を向けてくる。ふむ。
「大丈夫だ。マヤも全て納得している事だ。それに―――何も永遠の別れという訳でも無い」
そう言って、俺はアイに笑みを向ける。大丈夫だ。俺達は何時でも会いに行ける。
きっとまた、何時か会えるさ。そう信じている。
「うん、そうだね。また何時か、マヤに会いに行こう」
そう言って、アイは花が咲き綻ぶ様な笑みを向けた。




