新ヒーロー誕生!その名も・・・!?
恐ろしすぎる威力だ。
防弾の盾もがまるで円形に削り取られたように無くなっている。
これはヤバい・・・
「とまあこんな感じなんだが、どれにするね?」
「違いが分からないので何とも言えないのですが・・・」
「う~んそうだね、じゃあ適当にこれなんかどう?」
マッド樋口から5角形のケースの様な物を手渡される。
スーツじゃないじゃないか。
「これは?」
「これは着るスーツとは違ってね、有機細胞が君の身体と融合、捕食して超人的パワーを」
「あ、それ以外でお願いします」
俺は即答した。
そんな恐ろしい事は無理だ。
仕事とはいえ身体改造なんてされてたまるか。
俺は人間でいたいんだ!
「じゃあこれは?」
「お、かっこいいですね」
見た目は俺が子供のころ夢中になっていたバイクにまたがるヒーローに似ていた。
35歳、この年にして少し心が躍ってしまっている自分がちょっと恥ずかしい。
でもどうせならかっこいい恰好したいじゃない。
「じゃあこれにするか。最初に言った通り正体は出来るだけ隠さないとだめじゃ。何故かというとヒーローとはそういう物だからじゃ」
「はぁ・・・」
「というのは冗談。シャドウに正体がバレれば身内や親しいものに危害が及ぶからじゃ。」
なるほど、と思う。
悪の組織と戦うのだ、不利になる事は出来るだけ避けた方が賢明である。
このマッド樋口という男、ふざけているようでちゃんと考えているようだ。
「ではその強化スーツで決まりじゃな。」
「はい、これがいいです」
見た感じではただのヒーローのコスプレにしか見えないのだがきっとすごい機能がいくつも搭載されているのだろう。
「それと、そのスーツは水洗いOKだから普通に洗濯機に入れて大丈夫じゃ。あ、そうそう、マスクの方は角があるからネットに入れた方がいいかのう、他の洗濯物に穴が開くかも。」
「えぇ・・・洗濯機・・・ね。」
急に庶民感まるだしの会話に戻って現実に引き戻された感じである。
変なところが現実的で嫌になる。
「さて、後は名前じゃな。」
「名前?」
「ヒーローの名前じゃよ、相手に『何者だ』と聞かれたらどうすんじゃ」
「名前・・・」
名前、か。
俺は地味に何かに名前を付けるのがとても苦手なのであった。
ゲームの主人公のキャラメイクや名前決めが中々終わらず結局キャラが完成して、さあプレイは明日から!ってパターンが多いのだ。
しばらくうんうん唸りながら考えているとマッド樋口がたまらず声をかけてくる。
「なんじゃ、決まらぬか」
「ええ、こういうの苦手で」
「しょうがない、それではワシが温めておいた名前をいくつか・・・」
嫌な予感しかしないが、自分では特に思いつきそうもないので聞いてみる事にした。
「神田のカンに、人間でありたいという君の意見からパーソンという単語を使って・・・」
「いやちょっとそれは」
「カンパーソンというのはどうだろう!?キメ台詞は『カンパーソン、オールジャスティス!』」
「パクリはまずいですよ!セリフもほぼ丸パクリだし!」
「ダメか?折角KPカードも作ったのに」
「捨ててください!!」
結局名前は決まらなかった。
「じゃあ神田RXというのはどうじゃ!?必殺武器のショウスケインも作ってあるぞい」
「いや、パクリはだめですって。それに正体隠してるのに思いっきり自分で名前言っちゃってどうすんですか」
やっぱ変人だこの人。