神田小介、その人生
「とぉーう!」
空中に大きく飛び上がり怪人に向かって急降下!
右足が怪人の頭を粉砕し、巨大な爆発を起こす。
「お、おぼえてらっしゃーい!」
いつも通り露出の多い美人女幹部さんが捨てセリフを吐いて退散していく。
この仕事を始めて一体何年になるかな。
・・・長年ヒーロー業を営んでいると錯覚しそうになったがそんなことは無かった。
そろそろやっと1年経とうかという所である。
結婚したのが19歳。
職場の事務の同期とだった。
世間でいう所の出来ちゃった結婚。
間もなくして娘が生まれ、幸せだった。
でもその幸せもすぐ終わってしまった。
俺が20歳の時、つまり結婚した翌年
娘が生まれてすぐに。
嫁さんが他に男を作って出て行ってしまった。
俺を捨てるのは別にいい。
だって俺は一人でだって生きていける。
悲しみはあるだろうが別に死にゃしないんだから。
でも、娘は別だ。
この世に生を受け、何も分からぬまま捨てられたのだ。
母という大きな存在に裏切られたのだ。
俺は誓った。
絶対に娘を幸せにすると。
母がいないというコンプレックスなど感じさせぬほど幸せにしてやると!
・・・話がそれたね。
とまあ嫁さんに捨てられ安月給ながらド田舎のこの町で男手一つで娘を育てて来た。
色んな人に助けてもらいながら。
そして35歳、娘が15歳の時、俺は会社から解雇を言い渡された。
しがないサラリーマン生活にも終止符を打たれた。
不景気からなる事業縮小。
知ったこっちゃない。
会社にも裏切られた俺は新しい職を探すしかなかった。
職安で見つけた新しい仕事、それが今のヒーロー業だった。