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第53話 国籍不明機

2023年10月15日pm1:30   ”みょうこう”CIC(射命丸文視点)


未確認機がレーダーに映ってから30分が経過したが艦内の緊張度は依然として増していた


「不明機3、依然接近あと15分で人里上空を通過します」


「警察の状況は?」


「SIT各隊が短機関銃で武装の上、人里の自警団と共に警戒に当たっています」


「他12機はどうなっている?」


「12機のうち4機は無名の丘、上空でレーダーロストしました。恐らく着陸したものと思われます」


「残りの8機は?」


「依然、無名の丘上空を飛行中です」


「では当面の目標を接近中の3機とする。アンノウンの所属が知りたい。無線等の手掛かりはないのか」


「当該機は無線封鎖をしているようで手掛かりを得ることはできませんでした」


「司令、空自のF-35にスクランブルを要請するべきでは?」


「アンノウンが何かわからない現状では危険すぎる。ただし、すぐに上がれるように即時待機の状態でいてもらう」


「わかりました。空自に即時待機を要請します」


「陸自も基地警備班、高射特科を中心に不測の事態に備えているようです」


こんな感じで隊員達は慌ただしく動き回っているのでなかなか話しかけずらいが意を決して古賀司令に声をかけることにした


「あの、『これ』が何か知りたいならば偵察に行きましょうか?良い記事もかけそうですし」


「危険すぎます…と本来なら却下すべきなのでしょうが今回は情報が少なすぎる。苦しいところですがご協力いただけるならばお願いしたいところです」


「お任せください。こっちには博麗の巫女もいますしね」


「ちょっ勝手に私を巻き込まないで欲しいんだけど!」


「あやや…異変解決が巫女の仕事だったはずなので当然参加するものだと思っていましたが?」


「別にまだ異変と決まったわけじゃ無いでしょ」


「無事解決すれば神社の評判も上がり賽銭箱の中身も増えるかもしれませんよ」


「うっ…前言撤回、異変解決が私の仕事だしね。うん、仕方ないから協力してあげるわ」


「では宜しくお願い致します。誰か後部甲板まで案内してやってくれ」


「おい、誰かビデオカメラと無線を持ってこい。文さん、使い方については後部甲板で説明します」



















2023年10月15日pm1:40 人里(SIT隊員視点)


「特捜イチよりゲンポン(現地捜査本部)、現在通達のあった方角から不明機のものと思われる回転翼機のローター音を確認。どうぞ」


『ゲンポン了解。引き続き警戒を行え。どうぞ』


「特捜イチ了解」


自衛隊から国籍不明機が人里方面に向かっているとの情報が持たされてから人里に駐在中の我々は対応に苦慮しながらも里の自警団と協力しつつどうにか警戒監視体制を築くことに成功していた


「結局どこ所属のヘリなんだろうな」


「さぁな案外、警視庁ウチの機体かもしれないぞ。最近は自衛隊の連中ばかり増えてたからな」


「だと良いんだがなぁ。自衛隊の奴らがビデオカメラの映像が欲しいなんて言うくらいだから結構ヤバいかもしれないぞ」


「やめてくれ縁起でもない」


『ゲンポンより特捜イチ、機影は確認できたか?どうぞ』


「おい、お前見えるか?」


「あー見つけたあの点だろ。数は3か?」


「特捜イチよりゲンポン、機影を確認。数3それ以外は距離が遠く詳細不明。どうぞ」


『ゲンポン了解。全捜査員へ所属不明機が接近中、各員十分に警戒せよ』


















2023年10月15日pm1:43  幻想駐屯地 作戦指揮所


国籍不明機が接近しつつある現状でも陸自は高射特科に迎撃態勢をとらせ基地警備班に基地防護出動準備命令を出し隊員達に即応体制をとらせる以外、何もできずにいた

そのため伊藤一佐以下、陸自の幹部たちは海自からデータリンクで送られてくるレーダーディスプレイの映像とSITの傍受無線を聞きながらただ耐えることしかできなかった


「クソ、まだ所属はわからないのか」


「焦るな、すぐに状況は動く。その時にどう対応するかが我々の仕事だ」


そして、『その時』は唐突に訪れた


傍受していた警察無線から小さく雑音が聞こえた直後にその無線は流れ始めた


『至急至急、特捜イチよりゲンポン、現在不明機から銃撃を受けている。現在、正当防衛射撃中!現有戦力では対処できない!至急応援を求む。どうぞ』


『至急至急、ゲンポンより特捜イチへ、被害状況を報告せよ』


『特捜イチよりゲンポン、家屋等に破損が見られますが詳細不明、なおPMに負傷なし。どうぞ』


『ゲンポン了解、現在自衛隊に応援を要請中』


指揮所の中に緊張が走る


「こっちに応援要請きてるか?」


「いえ、恐らく海自の方に要請しているものと思われます」


「連隊長、指示を」


「航空機即時待機、第三中隊を主軸とした即応部隊を人里に向かわせる。第一、第二中隊は営内の民間人を避難させつつ防衛体制を構築。第四中隊は装備を整え次第、三中隊の支援を行え」


「了解しました」


「連隊長、博麗霊夢さん以下3名が先程”みょうこう”を発艦。あと3分程で現場空域に到着します」


『至急至急、特捜サンよりゲンポン、不明機のうち1機が被弾により黒煙を吐きながら降下中。墜落の可能性あり。どうぞ』


指揮所が混乱している中でも状況は着々と進んでいた






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