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第44話 偵察衛星『まつしま』

大変長らくお待たせしましたm(__)m

ついに『まつしま』の登場です

2023年9月21日am11:00  ‘‘いずも’’艦橋 (古賀海将視点) 


護衛艦、それもイージス艦で砲雷長をやったことがある俺が言うのもおかしいと思うが、俺はCICが苦手だ


どうも精密機械やディスプレイに囲まれるのがダメなようで今もこうしてCICを抜け出して艦橋の司令席で外を眺めている

自分がいることで特に仕事もなく暇をしている艦橋のクルーたちが無駄口の一つもたたくことができなくなってしまうのは忍びないがこれは毎日のひそかな楽しみとかしてしまっているのでクルー達には我慢してほしい。


こんな時には煙草の一つでも吸うことができれば気分も晴れるのだが、生憎と在庫は限られているしクルーの前での喫煙は風紀を乱すので控えなければならない

心を落ち着かせるため艦橋から外の景色を(残念ながら今は霧がかかっているが)眺めていると、高橋三佐がこちらに近づいてきた


「どうした?何か問題でもあったか」


「いえ、問題はありません。ただ少し相談がありまして、今お時間大丈夫ですか?」


「構わんよ。ただあと30分程度でCICに戻らなければならないが、それまでならいいぞ」


「ありがとうございます。早速ですが自分を河童達の住む妖怪の山に派遣していただけないでしょうか」


一体何を言い出すかと思えば…

人里で会談を行ったときも大概だったが今度は河童たちのいる妖怪の山に派遣させてくれと艦長の秋津一佐を通すことなく私に直接直談判にくる

彼の行動を見ていると出世する気がないのかと思わず心配になってしまうほどだ


「君は航海科だろ。どういう風の吹き回しだ」


「我々は河童達に武器弾薬の量産を頼むんですよね。こちらから送る技術者は誰なんです?」


「技術者というわけではないが武器弾薬の量産に関しては陸自の施設科中隊長に一任しようと思っている」


「武器科なら分かりますが施設科は武器弾薬に関しては専門外でしょう」


「だが他に適任の者がいないのが現状でな」


「だから自分がこうして司令と話しているんですよ」


ここにきてようやく彼の言わんとしていることが分かった


「確かに君が海自で1~2位を争うミリオタだというのはよく聞くが、本当に大丈夫なのかね」


「司令は空対空ミサイルの組み立て方を知っていますか?」


逆にそんなことまで知っているのかと問いただしたい衝動をグッと抑える

コイツは自衛隊に入隊しなかったら武器商人にでもなっていたのではないか?

ともかく俺にはこれ以上彼を説得するだけの気力がなかった


「…よく分かった。高橋大城三等海佐、妖怪の山への出向を命じる」


「了解しました。謹んでお受けします」


勢いで許可してしまったが艦長に相談してからの方が良かったのでは___

今更ながらそんな考えがよぎるがもう手遅れである

どのように秋津一佐に説明すべきか考えていると誰かがタラップを駆け上がってきた

何事かと振くと同時にタラップを駆け上がってきた人物が声を張り上げた


「司令、大至急CICへ」


「何があった?」


「衛星通信が回復しました」


「何!?」


思わず目を剝いた

幻想郷についたときに衛星通信の類は軒並み全滅していたのだ

それが今になって回復したというならば、通信環境もしくは結界に異常が発生したということになる

外部との連絡を取ることができれば脱出の糸口がつかめるかもしれない


「わかった。すぐ行く」


「司令、降りられます」


当直士官の大声に押されるようにタラップを駆け下りた
















2023年9月21日am11:20  ‘‘いずも’’CIC (古賀海将視点)


「状況を報告しろ」


「はい、5分前にC4Iシステムが回復しました」


CICに入ると砲雷長以下のクルー達が素早く状況報告を開始した


「コンタクトをとってきたのは衛星は日米どっちの所属だ?」


「我が国の情報本部に所属する偵察衛星『まつしま』です」


「昨年運用を開始したばかりの新型じゃないか」


「ご存じなんですか?」


「海上幕僚監部にいた時にちょっとな」


「どんな衛星なんです?」


「機密事項に触れているところは省くが簡単に言うと、北朝鮮や中国の弾道ミサイルの発射の兆候をとらえるための地上偵察機能のほか日本独自の戦術データ・リンクであるC4Iシステムを単機で運用する能力がある」


「地上のサーバーを介さずにですか」


「そうだ。そもそもこの衛星はEPM攻撃又はサイバー攻撃を受けた際、自衛隊のデータリンクが全滅することを回避するために作られたんだ。地上のサーバーが死んでも衛星が1機でも生き残れば我々はC4Iシステムを使用することが出来るわけだ」


「なんだかすごいですね」


「1機でもデータリンクが使えるということは、当然ここでも使用可能になるということだ。戦略の幅は非常に広がるだろうな」


「各部隊間の連携も簡単になりますね」


「あぁ、陸海空の幹部を集めろ。1時間後にブリーフィングを行いたい」


「了解しました。直ちに手配します」


この世界で生き残るための光明が見えた気がした

用例解説

C4I…陸海空自衛隊で用いられている指揮統制を目的としたリンクシステム。10式戦車がネットワーク戦車と呼ばれる理由は、このシステムが搭載されているからである

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