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第14話 作戦会議

お久しぶりです。

喉の調子が悪いです(風邪引いたかも…)


2023年8月17日pm1:00 旗艦〝いずも〟会議室


 この日は各艦の艦長を含めた海自幹部と、陸自幹部や前回の紅魔館派遣の際に特別警護分隊の隊長を務めた木島三等陸尉、航空自衛隊の加藤一等空尉、警視庁特殊事件捜査係(SIT)の松本巡査部長などを始めとする各部隊の主要な指揮官達がこの会議室に集結していた。


「本日、一〇〇〇(ヒトマルマルマル)。八雲紫が文さんを通じてコンタクトをとってきた。その内容は諸君の知っての通り、我々との面会である。今回集まってもらったのは、この要求をどうするか意見を聞くためである」


 まず、陸自の連隊長を務める伊藤一佐が発言した。


「八雲紫は、我々を日本に返すことができる唯一の存在であります。ここは彼女の要求を呑み、交渉するべきかと思います」


「私も賛成です。霊夢さんの情報が正しければ彼女に会うことが出来るのはチャンスです」


「では、面会は許可するとのことで良いな?」


 古賀司令の問いかけに対し各幹部から「異議無し」や「賛成です」と言う意見が帰ってきた。


「わかった。では、次に面会地点への移動に関してだ。知っての通り八雲紫は人里の寺子屋での面会を求めている。ここへ向かう際の警備計画を田中一佐」


「はっ。現在海自側で立案した警備計画では、我々幹部を乗せた96式装輪装甲車(WAPC)を挟むように前方に軽装甲機動車(LAV)、後方に10式戦車を配備し、不足の事態に備え上空にAH-64D攻撃ヘリコプターを配備する計画です」


「ちょっと待ってください」


 この意見に異を唱えたのは木島三尉だった。


「どうした。木島三尉」


「軽装甲機動車はともかく、戦車や攻撃ヘリを使うと過敏防衛になるのではないでしょうか?」


 この辺の事情をすっかり失念していたようで、田中一佐は顔をしかめた。


「そもそも、護衛に足の遅い戦車を使うのは陸自としてはあまりお勧めできません」


「では、木島三尉。君ならどうする」


「まず、戦車は足が遅く装輪車両の護衛に向かないので使わず、代わりに89式装甲戦闘車を使います。この車両なら後部に隊員を乗せられますし96式装輪装甲車(WAPC)に遅れを取る心配もありません」


「なるほど……因みに、他に直した方が良さそうなところはないか?」


「そうですね。攻撃ヘリは不要だと思います」


「なぜそう思った?」


「上空にヘリが飛んでいると敵に常に我々の位置を教えることになります。それに、過敏防衛になると使えませんからね」


「伊藤一佐はどう思う」


「はい、私も木島三尉とほぼ同じ意見です。しかし、陸自としては〝保険〟をかけたいと思っています」


「その〝保険〟の具体的な内容は説明していただけるのですか?」


「はい。まず人里付近に99式自走榴弾砲と多連装ロケット(MLRS)、中距離多目的誘導弾を配備します。また、〝いずも〟に特殊作戦群(SFGP)及び警視庁特殊急襲部隊(SAT)を乗せたヘリを待機させます。これで不足の事態への充分な対応ができると考えています」


 つまり何らかの原因で戦闘が発生した場合、局地戦闘なら特殊戦力で、全面戦闘なら後方に待機させている特科火力で一網打尽にしようという魂胆なのである。

 常に最悪を想定することが軍事組織における基本であるから、必ずしも間違っていない。


「なるほど……皆さんもこれで良いですか?」


 古賀司令の問いかけに対して、会議室に居た全員が賛成意見をだした。


「続いて作戦参加者を発表する。軽装甲機動車には前特別警護分隊の者に任せたいと思う。木島三尉、異論は無いか」


「ありません」


「よし。装輪装甲車には私を始め、海自幹部と伊藤一佐を始めとする陸自幹部、そして警視庁SITの松村巡査部長が搭乗する。この際、不測の事態への対処のため私以外の各艦艦長には艦に残ってもらう。異論は無いか?」


「あのぉ、すみません」


「どうした。高橋三佐、異論があるのか?」


「実はですね、私を軽装甲機動車に乗せていただきたいのです」


「高橋三佐、趣味と任務は切り離して考えてください」


「良いじゃないですか。陸自の車両に乗れることなんて滅多に無いんですから」


 航海科の海曹がたしなめるも三佐は譲歩する気がないようだ。


「自分達としては全く問題ありませんよ」


「木島三尉も甘やかさないでください」


「文さんと一番親密なのは私ですよ。気軽に話しかけれるので都合が良いのではないですか?」


 恋人がいない連中が少し殺気立っているのは気のせいではあるまい。

 彼は言葉を選んでしゃべる訓練が必要だと思う。


「わかった。高橋三等海佐、軽装甲機動車への搭乗を認める」


 古賀司令もあきれたのか、あっさりと許可が下りた。


「ありがとうございます」


「古賀司令まで……良いんですか? 認めてしまって」


「どうせ止めても聞かんだろうからな」


 会議室の扉が勢い良く開いたのは、丁度その時だった。


「先任伍長、どうしましたか?」


「報告します。〝みょうこう〟のレーダーが本艦隊に急速接近中の2つの目標を探知しました。現在、無線による通告を実施中です」


「よし、分かった。全艦に対空戦闘を下令せよ」


「了解しました」


「敵味方識別は文さんの時と同じ方法でやれ」


 無線での通告が意味をなさないことは、既に何度も経験している。目視での確認はかなり至近まで接近を許すことになるが、他に有効な手段がない以上は致し方ない。


「はっ」


「それと先任伍長、陸自の皆さんに救命胴衣を渡してくれ」


「私はCICに降りるが、各艦の艦長は安全のためここで待機を」




用例解説

過敏防衛…必要とされる以上に強力な武器を使用して攻撃すること。主に人道上の問題で配慮が必要とされている。 (例)拳銃のみを所持した敵に艦砲射撃を加えるなど。


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