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07. アナタには敵わない

久々に更新します~☆

…あらやだ、この子ってばいつの間にこんなに大きくなったのかしら?

突然の出来事についてこれなくなった私の脳内は、親戚のおばちゃんモードに突入したらしい。


夕方、大学から帰ってきた私の家の玄関先に立ちはだかるのは、隣に住む二つ年下のコウタだ。

同じ時期に引っ越してきて、親同士が仲が良いので、私たちは姉弟の様に育ってきた。

お互い思春期を迎えて、昔の様に頻繁に顔を合わせることも減ったが、兄弟のいない私にとってはコウタは「弟」だった。


ついこの間まで、手を引いて歩く私をコウタが見上げていたはずなのに。

今は私が彼に腕を掴まれ、見下ろされている。

腕に掛かった手は一人前の男の人みたいに大きくて、力強い。

少し痛みを感じるくらいで、微かに身動きすると逃がさないとばかりにさらに力を込められた。


うちのお母さんや隣のコウタのお母さんいわく、高校に入ってからもいつも元気いっぱいな彼なのに、至近距離で見る今日は、珍しく目の下にクマが居座っている。


「…ねぇ、アヤカちゃん聞いてる?」

「う、うん…」

心ここにあらず、だったのに気付かれたらしい。


「だからさ、アヤカちゃんの目がずっと僕を映してくれたらどんなに幸せだろう、とか思ったらいても立ってもいられなくて」

「…う、うん」

「こんなにこんなに大好きだよ、の気持ちをどうやって伝えたら良いかなって考えてたら夜も眠れなくて」

「……」


いきなりそんな事を言い出すなんて、熱でも出たんじゃないだろうか。

家から通いやすいからとそこそこな大学へ通っている私と違って、コウタは文武両道をモットーとする地元で有数の進学校に通っている。

勉強やらなんやらで疲れているのかもしれない…。


「とにかくさ、僕と付き合ってよ」


「…無理って言ったら?」

私にも拒否権はあるはずだ。

コウタの事を好きとか嫌いとか以前に、この「告白」は急すぎるんだもの。


「……泣くぞ?」


「へ?」

思いも寄らない返事に、間抜けな声が出てしまう。

「…今すぐ泣くぞ?絶対泣くぞ?…ほら泣くぞ?」

「泣くって…アンタね…」

そんなにきっぱりと言われても説得力がない。


そもそも年頃の男の子が「泣くぞ」って脅し文句はいかがなもんだろう。


「アンタ、そんな事して恥ずかしくないの?」

そもそもここは家の前だし。

幸い人通りはないけど、いつ近所の人に見られるかわからない状況なのに。


「恥ずかしくなんかない。そんなんでアヤカちゃんにOKしてもらえるんなら何だって出来るよ」

いかにも真剣そのもの、という視線を送ってくるので、目線が逸らせなくなる。

今時の男子高生らしくキリリと整えられた眉が真ん中に寄せられている。

そしてこちらへ熱い眼差しを送る目には、じわりじわりと水分が浮かんでキラキラと夕陽を反射している。


ずるい…。

昔からコウタの泣き落としには弱いのに!


「わ、わかったから…」

一旦その手を離して、そう続けようとした私の言葉を遮って、コウタは私の身体を抱きしめる。


「ありがとうアヤカちゃん!嬉しいっ!」

そう言ったかと思うと私の身体を抱きしめたまま持ち上げて、クルクルと廻りはじめる。

昔、コウタにやってあげてた遊びだ。まさか立場が逆転するなんて。


…てゆーか、まだOKするなんて言ってないのにね。


さっきまでの泣き顔が嘘みたいに明るい笑顔を浮かべるコウタを見ていたら、私もなんだか可笑しくなってきて、一緒になって笑ってしまう。

家の前の道を通りがかった犬を散歩させた人が、不思議顔でこっちを見ているけど、今はそんな事は気にしない事にする。


泣き顔よりは笑顔を見ていたいなと思うくらいには、私もコウタの事を好きみたいだから。




<Fin>








・○○○に似合う台詞は、

「泣くぞ?すぐ泣くぞ?絶対泣くぞ?ほら泣くぞ?」です。

今から使おう! http://shindanmaker.com/443033 【あなたに似合う台詞。】


・○○○は真っ直ぐ見つめて、君の目がずっと僕を映してくれたらどんなに幸せだろうとか(こんなにこんなに大好きだよ) というシチュエーションを経験します。 http://shindanmaker.com/309388 【シチュエーションセリフったー 】



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