再会のきっかけ
この小説と同じジャンル「Smile~再会はすべて鍵だった~」も連載終了!
ぜひ見てくださいね♪
知らなきゃよかったんだ....それ以上。
私の名前は「菅野優李」である。
このころの私はまだ高校2年生。
友達からは、性格がクールだとか、不思議とも言われている。
男子からは一度だけ、冷めた性格だ..とか言われたこともあった。
現在2012年4月。
私は大学生。19歳。
2年前の2010年5月。
私はいつものように、大学に通っていた。
今は、大学で出来た彼氏と付き合っている。
ピンポーン....
彼氏の家へたずねた。
1週間も休みなんて、おかしいと思ったから。
昔から言われる、勘が鋭いと。
「何..?」
「休んでるから、お見舞いに来た」
「..お前が?」
「どういうこと?」
そろそろ終わりだなと覚悟はしていた。
この関係の終わりに。
「女の靴。浮気?」
「ち、違う」
図星。
「私、これだけ渡しに来ただけだから」
合鍵だけを渡した。
そうすると、彼氏の顔色が変わった。
「な、なぁ..どういうことだよ」
「別れるって意味以外何も」
「....」
黙り込んでしまった。
安いアパートに住む彼氏と付き合う私が間違っていた。
今では少し損をした気分。
自分の世界でしか楽しめなさそうだし、デートも1回しかない。
「お前、俺と付き合ってて、楽しくねぇんだろ?」
「え?」
「毎回思うんだけど、お前..笑ったとこ見たことねぇし」
「....」
あんたに言われる筋合いなんかない。
「冷めた性格だな」
ギョッと鳥肌がたった。
まさか、こんな彼氏にまで言われるとは思ってなかった。
プルルルルル....
電話が鳴った。
「もしもし...あ、梓?」
久しぶりの電話だ。
彼女の名前は、森内梓。
高校時代からの親友。
顔が広くて、誰とでも話すような明るい性格。
私から見ても、全然違う性格だ。
(高校2年生のときにクラス一緒の、前田千結..知ってる?)
「...うぅ..ん。なんとなく」
(前田さん、亡くなっちゃって。明日、お葬式なんだよね)
なんとなく覚えてる。
そう言ったけど、顔さえ出てこなかった。
顔も覚えていない子が亡くなったと言われても、しっくりこない。
次の日
「はぁ...」
梓が隣でため息をついている。
「昨日は電話であんなこと言ったけど、実はあたしも顔..覚えてないんだ」
「そうなんだ..知ってるかと思ってた」
影が薄い子だった気がする。
教室の窓側の一番後ろの席。
先生からもあてられることも少ない席。
「で?何で..亡くなったの?」
「それが..分かんないんだよね」
理由も分からない死。
知っていることはただそれだけ。
それだけがきっかけで..私たちは再会をした。
ホールのロビーにて
「うわぁ~!久しぶりだねぇ~~~!!!」
そのときのクラスが一緒だった男子と女子が4~5人に集まって、
昔話で盛り上がっている。
同窓会のような空気。
「優李も変わらないね!今、何してんの?」
「あぁ..大学に通ってる」
「そーなんだ」
みんながその前田さんの話を一切しないで、自分たちの世界に入ってる。
そんな光景を目にした私は、少し心が痛んだ。
やっぱり彼氏と別れるってことは、辛いんだ。
今までもずっとそう。
自分の辛さをずっと隠して生きてきた。
梓が前田さんのお葬式で飾られている写真を見て、
「みんな..前田さんのことって、知ってる?」
「あたし知らない!」
「ウチも!」
「だよねー!」
やっぱり前田さんを知る人は誰もいなかった。
「あ、私..ちょっとお手洗いに行ってくるね」
『分かった』
トイレの鏡で自分の髪などを少し直して、トイレを出ると
ちょうど、前田さんのお母さんがいた。
ちょっといいですか?と声をかけられたため、私は前田さんのお母さんのところに向かった。
「....ちょっと、あなたにお聞きしたいことがあるの」
「?」
「千結のね..菅野さんの文字が書いた日記が出てきたの」
「日記?」
私は何も前田さんと関わったことがない。
話したこともないし。
「友達って書いてあったから..仲良くしてくれたこと..お礼が言いたくて」
「私..前田さんとお話をしたこともないんです」
ウソはつきたくない。
「そうなの...?」
「関わりがあまりなくて..たぶん..前田さんが夢を書いたんだと思います」
「夢ねぇ..」
前田さんのお母さんは自分が持っていたバックから日記帳を出した。
コレ、菅野さんに..と渡された。
「持っててもらいたいの。きっと千結の望んでることだと思うから」
「..私が持ってても..どうすることも出来ません」
「いいから..ね?」
そうやって前さんのお母さんは会場に入って行った。
「お前、相変わらずだね」
「...あ」
初回だったので、長くなりました。
次からはコンパクトに1話分のお話をまとめてます!
次からもお楽しみに!