表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

prepare1

装備が揃った。彼にカスタマイズされた、選んだ装備とは?

自分の能力も見えかけている。

そして、この世界の地理的な秘密とは?

四日後、タツロウはクリニックに足を運んだ。先日伝えた装備品が今日揃う予定だった。

その間、悶々とすることもなく、逆に嬉しがることもなく平静に過ごしていた。


いや、正直なところ内心はワクワクしていたところもあるが、周りからは指摘されることはなかった。


「こんばんは」

灯りは付いているが鍵がかかっている。カードキーでドアを開けて奥の方に向けて挨拶をしたが誰もいなかった。


地下へ下りるとグンシとリュウジが待っていた。

「よう、できてるよ。さっそく着けてみようか」

グンシの目の前のテーブルには装備品が並べられていた。


「おお!・・・いや、改めて見るとすごいですね・・・しかし、本当に揃うんですね・・・」

タツロウが気圧されたように改めて感心するとすぐにリュウジが促した。

「さっそく合わせてみよう。着替えてインナーで来てもらっていいかい?」

「ええ、すぐに。」


タツロウはロッカーに行き、インナーに着替えた。厚手のロングT、運動用のスパッツだ。会社帰りにスポーツ用品店に寄ったりして色々考えながら買ってきたものだ。

それと靴を持ってロッカーを出た。


まず、ズボン下のようにあの金属の生地でできた半ズボンを履いた。上に着たシャツよりも厚手にできている。

そして、シャツを着て、プロテクターを身に付けた。

プロテクターは形ほぼそのままに作り直したものだ。外はカーボン樹脂で作り直していてオリジナルよりも数段頑丈になっている。

しかし、よく3,4日でできたものだ。


「いや、これはいいと思ったので僕も作ったんだ。今のやつより動きやすそうでね。」

リュウジがタツロウに言った。


二の腕から先は別の装備になる予定だ。彼のプロテクターは二の腕までをカバーしていた。


足のプロテクターは野球のキャッチャーのレガースのようになっていた。それよりはもう少しスリムにしてあるが十分と言える厚みはある。

直に付けられるように内側は薄いスポンジが付いている。

そして先に靴を履いた。ショートのブーツだが安全靴仕様になっており、足先には鉄が入っている。


「いい靴だな。」グンシが言うと

「一応ライダーブーツです。バイクには乗らないんですけど・・・」

タツロウはニコニコ笑いながら答えた。

そしてその上からズボンを履いた。このことを考えて余裕のある形とサイズにしておいた。これは正解だった。


「足甲には金がかかったぞ。」

「あ、いや、すいません・・・」

攻防両用に使えるように、厚手にしかもできるだけ軽くと要望をしていたのだ。


「さて、これが武器だが・・・おもしろいな」

彼の頼んだ武器は小手と一体になっていて腕を全てカバーしていた。ここで攻撃を受け止めるために厚手の装甲になっている。

そして、手首は真直ぐな装甲によって固定されている。その先には横向きのグリップがあり、その先には縦に装甲が付いていた。ナックルのようになっている。

手の親指と小指の横の厚目の装甲からは15センチほどダガーの刃先が付いている。

「こんな武器は初めて見るんだが、まあカスタムのセスタスになるんだろうな。」


グリップを離すと手首から先は少し制約はあるが自由に使えた。肘当てを付け、固定の為の紐を結んだ。

「あ、手袋用意すればよかったな・・・」


上着を着て彼は持ってきたお守りを二人に見せた。

「何か、ご利益がありそうなので・・・」

「ああ、そういうのは邪魔にならない範囲で持って行け。」

グンシはそう言って少しタツロウから離れた。


「いや、かっこいいじゃないか。神谷君から見てどうだ?」

「そうですね。ほぼ完璧じゃないですか?付け心地はどう?」

リュウジが尋ねた。

「ええ、思ったより重くないし、良さそうです。」

そう言いながら少し離れてジャブを放って答えた。


「あとは、このマフラーだ」と言ってあの生地で出来たマフラーをグンシは手渡した。

グリップを外してマフラーを巻くとすぐにリュウジが声を掛けた。


「さあ、行ってみよう。僕も準備をしてくるから。」



二人で階段を降り始める。神谷は手慣れたように、緊張も何もなく降りていく。一方、醍醐は階段を降りるのに緊張がある。震えているわけではないが動きが固い感じを神谷は感じ取った。

「どうした?緊張しているのか。」

「ああ、そんなとこだけど、複雑な気分だ。」

「ん?」

「怖い・・・それも少しある。不安もある・・・だけど楽しみでもある。」

「うん、なるほど・・・ところで重かったり、動きにくいとかはないかい?」

醍醐は軽くステップを踏んですぐに答えた。

「さほど、重くはないし、今のところそれはないんだが・・・」

神谷はそれを無視するように醍醐を促した。


「さあ、行こう。今日はちょっときつい所に出る。」


ドアを開けると、何となくではあるが見覚えのある風景に変わっている気がした。

よく見ると薄暗い空にはうっすらではあるが星が見える。

そして向こう側に見えた街並みが初めて落ちた場所なのだろう。

町外れの建物を後にして歩き始めた。

「どうかな?少しは慣れてきたかな?」

「うん・・・まあ、力の使い方もこの前少しわかったし。」


歩いているうちにミクが合流した。

「どう?醍醐さん。少しは慣れましたか?」

「ああ、ミクちゃん。うん、大丈夫。」


しかし、町に入る頃に少しの気配を感じた。数人の野武士か何かだろうか?

「今日はここの構造を教えたいと思う。その前にウォーミングアップをしよう。醍醐さんの装備も確かめる必要があると思うし。」

「うん・・・この前と感覚が違うんだ。何でだろう?」

神谷が驚いたように尋ねた。

「感覚が違うって?どんな感じ?」

「何て言うんだろう?この前よりもシャープに集中できる気がする。」

「ふむ、あ、見えてきた。こっちに来るよ。」

「あ、ちょっと離れてもらえますか?」


醍醐は自分から少し離れて右手を見えてきた野武士に向けてかざした。その次の瞬間、彼の右手の上の方にミサイルランチャーの形が現れた。

「いけっ!!」

醍醐が一声発するとそのミサイルランチャーからたくさんの小さなミサイルが発射された。

「実体化?」

ミクが驚いて言うと神谷は「ああ」と一言だけ言った。


多数のミサイルは野武士の集団に命中した。そして細かく多数爆発した。

砂埃が爆発によって巻き上がった。砂煙がもうもうと巻き上がるが爆炎は見えなかった。


砂煙が引くと数名の、壊れたマネキンのような野武士の姿があった。

醍醐はそれを見てまるで人形のように思った。血は全く出ていない事、それとその亡骸はシューシューと音を立てながら煙のように消えて行ったからだ。


「おそらく・・・君のイメージがミサイルランチャーだったのだろう。そして弾頭は火薬とかじゃない。」

「じゃ、何?」

ミクが聞くと神谷はすぐに答えた。

「おそらく、彼がこの前示した冷気が爆発したんだろう。いやあ、使い勝手が良さそうだ。」

神谷はそう言って笑顔を見せた。


「うん、でも連射はできそうにないし・・・どうなんだろ?」

「まあ、使い勝手とかは慣れていくしかないんじゃないかな。さて、僕もこの前はちょっとしか出さなかったから、ちょっと本気を出してみよう。」


前方の遠くには足軽が見えている。

「ちょっと離れて。僕のは少し違う。だけど十分だ。」


「はっ!」

神谷が短い気合いと共に剣を振るとそこからは青く光る、刃のようなものが向こうに飛んで行った。

その青白く光った刃は足軽を捉えて切り裂いた。


「おお、やっぱりすごいね!」

醍醐が歓声を挙げると神谷は向き返って言った。

「僕のも連続して出せるわけではないんだ。まあ、こんな感じかな。でも、これは使いすぎると後が辛いんだ。」

「ん?」

「結構疲れる。まあ、そうも言ってられない事もあるけど。身体を使った方がいい場合の時の方が断然多い。」

「なるほどね・・・」

「さて、先を急ごうか?まあ、これも一つの収穫だけど。」


街の中に入り大きめの通りに出た。神谷は一軒の大きめの建物を指差した。

「あそこのお寺だけど・・・まあ、ここも信じられないような場所だ。」

そう言って神谷は寺の中に入った。入ってすぐ本堂になっていたがその中はとてつもなく広かった。

「え?何これは??」

醍醐はびっくりして声を上げた。まるで外観と中の大きさが合っていない。それに扉だけがたくさん並んでいる。


「ベビーユニバースって知ってるかい?」

「はいぃ?」

「ホーキングの宇宙論だよ。たくさんの宇宙がつながっているってやつ。」

「ああ、なんとなく・・・」


神谷はそのドアの一つを指差して言った。

「あれは別の空間に繋がっているドアなんだ・・・」

「すごい・・・で、全部調べたの?」

「いや、いくつかしか行ったことはない。まあ、君はここに落ちただけ幸せだったよ。この先だったら探すのが大変だった。」


「ふーん、で、行ったことのあるドアの先ってどんな感じだったんですか?」

「うーん」

神谷は腕組みをしながら答えた。

「まあ、札が付いているのが見えるかな?」

確かにドアノブや突起などに札が付いているのが見える。

近寄ってみるとそこには<魔の山>と書いてあった。別の札の付いているドア、近づいてみるとそこに付いていた札には<大聖堂>と書かれていた。


「まあ、色々あるんだ。で、ここのドアにはまだ入らないで欲しい。何があるかわからないし・・・」

「ああ、うん」

ミクがここで言った。

「行かなきゃいけない時は私が案内するし・・・でも神谷君がいないと・・・あと、危険なことも多いから・・・」

「あ、うん。わかった。」

醍醐は言いつけを素直に聞いた。


「さて、今日は戻ろう。動きやすさを確かめてないから、それは確認しておかなくてはな」



その寺を出ると5人の足軽が行く手を遮っていた。

「じゃあ、行くよ。」

醍醐はそう言うと否やすぐに襲いかかった。

武器を装備しているだけ、ワンツーもあえて顔面でなくていい。一人をワンツーで倒すとその手を横に大きく振った。その刃が足軽の顔面を捉えた。正面の足軽には前蹴りを入れ尻もちをつかせた。その間に近づいた足軽にひざ蹴りを入れた。そして一歩横に動いてミドルキックを入れた。

足の場合も手のときと同様に感触が違った。プロテクターを通して蹴っているため当たり方がハードだった。


その間、尻もちを付いていた足軽は立ち上がろうとした瞬間に神谷の剣の餌食になっていた。

「どう?動きはいいね。」

「ああ、使い勝手はいい。今のところ直す必要はないかな。あ、でもやっぱり手袋はいるなぁ」

「うん、大丈夫そうに見えます。でも、すごいねえ・・・何か馴染んじゃってる」


「まあ、厳しいときじゃなければ僕がいなくてもパトロールに出られるかな。ただ、必ずミクに相談してくれ。」

「うん、そうする。」


そう言って帰路に足を向けた。






次回、新キャラが登場します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ