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正義の軍略家 ~自衛隊エリート、異世界で義勇軍を率いて腐敗を討つ~  作者: ローナ


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魔王軍の本格侵攻と、決断の時

盾の牙要塞に、異変が訪れたのは、領地拡大が軌道に乗ったばかりの頃だった。

総勢380名に達した『秩序の盾』は、グリーン村とハートン村を正式に保護下に置き、新たな前進基地の建設も順調に進んでいた。

王国軍との限定的な共同作戦も続き、辺境の空気は一時的に落ち着きを見せていた。

しかし、その平穏は突然、破られた。

深夜、要塞の見張りが大声で叫んだ。

「北東の森が……黒い霧で埋め尽くされています!

魔物の数は……数えきれない! 500体以上……いや、もっと!」

シオンが息を切らして司令室に飛び込んできた。

「蓮! 魔王軍の本格侵攻です!

黒の将軍を倒した報復を超えた規模です。

黒い霧の中に、複数の指揮官級の影が確認されました。

このままでは明日の朝までに要塞周辺の村が全滅します!」

蓮は即座に立ち上がり、全軍に最高警戒命令を出した。

「全軍、戦闘態勢!

魔王軍の本隊級の侵攻だ。

王国軍にも緊急連絡を入れろ。

共同作戦の枠を超えた、本格的な協力が必要になるかもしれない」

エリシア、ガルム、ルーク、シオン、ミアが急いで集まった。

エリシアの顔が青ざめていた。

「こんな規模の霧は初めてだ……黒の将軍の一件が、魔王軍の本気を引き出したのかもしれない」

ルークの耳がぴったりと頭に張り付き、尻尾が震えていたが、声はしっかりしていた。

「僕……前衛で戦う。 みんなを守る!」

ガルムが重く頷いた。

「要塞を死守する。 しかし、この人数差では長期戦は厳しい」

ミアが震える声で言った。

「食料と矢はまだ持ちこたえられますが……三日以上は……」

蓮は地図を睨み、わずか数秒で判断を下した。

「要塞を捨てる覚悟も持つ。

しかし、今はまだ持ちこたえる。

作戦は二段階だ。

第一段階:要塞を拠点に防衛戦を行い、王国軍の救援を待つ。

第二段階:王国軍が到着次第、共同で反撃に転じる。

魔王軍の目的は辺境の混乱。

俺たちがここで耐えれば、王国も本腰を入れるはずだ」

即座に防衛配置が決まった。

エリシアとガルムが前衛の中心となり、要塞の門を守る。

ルークとシオンは斥候・側面攻撃を担当。

ミア率いる後方支援部は負傷者対応と矢の補給に徹する。

蓮は中央塔から全体を指揮する。

夜が明ける頃、黒い霧が要塞を包んだ。

無数の魔物が波のように押し寄せてくる。

黒い霧を纏ったオーク、ゴブリン、さらには霧を操る魔導型の魔物が混ざり、統率された攻撃を仕掛けてきた。

「来るぞ! 絶対に門を死守しろ!」

エリシアの雄叫びとともに、戦闘が始まった。

獣人の力強い一撃が魔物を吹き飛ばし、ガルムの重い棍棒が地面を震わせる。

ルークは壁の上を高速で移動しながら、石と短い槍で敵の目を潰した。

蓮は塔から声を張り上げ、的確に指示を飛ばした。

「右翼の霧が濃い! 火矢で焼き払え!

左翼はルーク隊が回り込め!

中央は陣形を崩すな!」

黒い霧が触手のように伸び、兵士たちを絡め取ろうとする。

要塞の石壁が削られ、悲鳴が上がるたびに、蓮の胸が締め付けられた。

しかし、『秩序の盾』の結束は強かった。

人間と獣人が肩を並べ、互いを守りながら戦い続ける。

戦いは朝から昼、そして夕方へと続いた。

損害は徐々に増えていったが、要塞はまだ落ちていなかった。

夕暮れ時、ようやく王国軍の救援部隊が到着した。

カイル中尉が率いる200名以上の部隊だった。

カイルは馬上で叫んだ。

「神崎蓮! 第三王子殿下の命により、共同防衛を行う!

我々も魔王軍を討つ!」

蓮は塔から大声で応じた。

「感謝する! 王国軍は右翼を、俺たちは左翼と中央を担当する!

連携を乱すな!」

王国軍と『秩序の盾』が初めて本格的に肩を並べて戦った。

エリシアと王国軍の騎士が並んで前線を支え、ルークとシオンが側面から魔物の連携を崩す。

蓮の指揮のもと、二つの勢力が一つの軍団のように機能し始めた。

激戦の末、魔王軍の先遣隊は大きな損害を被り、黒い霧が徐々に薄れていった。

夜が更ける頃、魔物たちはついに撤退を始めた。

要塞の広場は、勝利の歓声と、負傷者のうめき声が混じり合っていた。

カイル中尉が蓮の前に立ち、疲れた顔で言った。

「よく持ちこたえた……お前たちの戦い方は、確かに王国軍とは違う。

第三王子殿下は、お前たちを『辺境の盾』として正式に認める気になったようだ。

自治権の拡大を、近いうちに認めるだろう」

蓮は静かに頭を下げた。

「協力に感謝します。

これからも、魔王軍に対しては共同で戦いましょう」

カイルが去った後、エリシアが蓮に近づいた。

「蓮……王国軍と本気で肩を並べた。

これで少しは時間が稼げるな」

ルークが汗だくの顔で笑った。

「僕、頑張ったよ! 王国軍の人とも一緒に戦えて……なんか、強くなった気がする!」

蓮は皆の顔を見て、静かに言った。

「今日の勝利は大きい。

しかし、魔王軍の本隊はまだ来ていない。

王国との関係も、いつ変わるかわからない。

これからも領地を広げ、軍団を強くし続ける。

俺たちは『秩序の盾』として、自分の道を歩む」

その夜、蓮は屋上で一人、星空を見上げた。

【スキル『大規模防衛指揮』 レベル1を取得しました】

【現在のレベル:46】

力は着実に増え続けている。

しかし、蓮の胸には重い現実がのしかかっていた。

「王国を利用しつつ、依存しない。

魔王軍の本格侵攻に備え、領地をさらに固める。

仲間たちとともに、この世界に真の秩序を築くまで——

俺は絶対に前へ進む」

遠くの王都では、第三王子が報告を聞き、静かに頷いていた。

北の森では、新たな黒い霧が、ゆっくりと、しかし確実に生まれ続けていた。

神崎蓮率いる正義の軍団は、

王国との協力と魔王軍の影の中で、

領地を拡大し、力を蓄え、

さらなる激しい戦いへと、静かに歩みを進めていた。

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