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読んで頂きありがとうございます!
「とは言っても何も手立てが浮かばないわね…ねぇ、世界樹様何か良い方法無いですか?」
『お主……やる気無さすぎるじゃろう』
「今まで散々書物読み漁って来ましたけど、“魅了”に関するものなんてお伽噺くらいしかありませんでしたよ。学園で迂闊に近寄ると私まで魅了されかねない…魅了に効く“聖薬”や“聖なる木札”なんてアイテムが実在するとも思えないし」
『あるぞ』
「……え?」
『聖薬は我の葉を、札は我の枝を使えば作れるぞ』
「……えぇえ!?こんな身近に!?だったら今すぐ魔法士か薬術士を呼んで大量生産しないと!」
『それは無理じゃ』
「何故」
『我がレシピを伝えられるのは今のところお主だけじゃ。お主が作れるようになって伝えるなら話は別じゃがな』
「私が作る…ですって?」
スクランブルエッグを炭にした私にそんな事が可能なのだろうか……。三年目にして目玉焼きがどうにか食べられる程度になった私が薬剤作り……。
「死人が出ません?」
『レシピがあると言うておろうが』
「レシピがあれば失敗しないなんて考えが甘過ぎます。集中力切れて塩と砂糖間違えたり、面倒臭くなって雑になった作業が要になる工程だったり…強火にすれば早く完成すると思ったら表面黒焦げ中身生焼けだったり…何かを作ると言うのは常にリスクと隣合わせなんですよ!?」
『……よく生きておったな』
「焼いたパンを貰える事とポトフだけは作れるようになりましたので」
それでも時々野菜が生煮えの時はあるけど今のところお腹壊してないから問題ない。
『ほれ、これがレシピじゃ』
何もない空間からヒラヒラと紙が落ちてきた。
「聖ポーションの作り方 百人分」
材料
世界樹の葉……二十枚
聖水……大鍋一杯
精霊の鱗粉……少々
乾燥マンドレーク…一体
ユニコーンの角…一本
「……え、材料がすでに鬼畜なんだけど」
世界樹の葉は貰えるとして、聖水も教会から…貰えるの?腐敗した教会に聖なる水あるの?聖水も腐ってたりしない?
精霊の鱗粉……少々ってどれくらい?大鍋一杯に作るって事は小鍋一杯くらい?
いやでも、最初の頃にポトフの味付けで胡椒少々って書いてあったから小瓶の中身全部入れたらとんでもない味になったな…小鍋半分くらい?精霊達に言ったらくれるかな。
問題はマンドレークとユニコーンの角よ。ユニコーンなんて伝説級の存在じゃないか。遭遇できた頃には多分国滅んでるよ。むしろその前に、魔物に食われて私が死んでるわ。マンドレークだって扱いを間違えたら即死だ。そして私は扱いを間違える類いの人間である。
「え、国滅ぶ前に私が滅ぶ感じ?」
《…ソウコ、アル》
《ユニコーン、カピカピマンドレーク》
《セイスイ、セカイジュノ、イズミアル》
《リンプン、アゲル》
《マリョク、クレルナラ》
三体のまんまるふんわりが目の前に現れた。昔からよく現れる精霊だった。
「倉庫…?どこの倉庫かわかる?」
《ザラ、スンデル、イエ》
「私の離宮……もしかして、旧宝物庫の事?」
百年前に新しい宝物庫を建てた際にもともと使われていた宝物庫はガラクタを入れる倉庫となったらしい。私も一度入ったが、よくわからない壺やら鏡やら錆びた剣やら……その他諸々が押し込められていた。確かにユニコーンの角やマンドレークがあってもおかしくはない。
「…行ってみるしかないか。ありがとう、精霊さん達」
《ザラ、スキ》
《オモシロイ》
《マリョク、オイシソウ》
旧宝物庫に向かうため歩き出すと精霊達もついて来ている。一人であそこに入るのは心細いから有難い。




