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会合戦記 疫病神と呼ばれた提督は望まぬ出世街道を突き進む  作者: 今谷とーしろー
深謀篇

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第五話 入城

 難攻不落と謳われたテトラ連合の要塞テトラフォートレスは一日で落ちた。

 しかし従来通りに二個艦隊が駐留していたならば、当初の予定された十日かけても落とせなかったであろう。その場合には艦隊をこの場に釘付けにするための、別の作戦が動いていたはずである。

 これが一個艦でも残っていたら、攻略はもっと手間取ったであろう。その場合には三日から五日と算出されていた。駐留艦隊は第七艦隊で引き付けておいて、予備選力として同行していた青龍のG砲の出番となっていたであろう。ローンスターから帰還していたかつての所属艦の同行が、この作戦に参加するにあたってリシャールが出した要望であった。

 青龍はその改良型である飛竜よりは有効射程が短いが、砲門は左右に二門あって、それを操るジル中佐の射撃の腕前であれば同じ個所に同時に当てて要塞の壁を一撃で破壊しただろう。

「敵要塞にG砲が装備されていればこうもあっさりとは行かなかっただろうな」

 とリシャール。

「連合はあれが帝国が提供した技術であると知らず、ローンスター独自のモノだと思っているのでしょう」

 とローンスター帰りのジル中佐。

「原理が判ってしまえば導入にはさほどの手間も掛からないのですけれどね」

 最初にその威力を目の当たりにしたオランジュ連邦は艦砲に採用しているし、ヌヴェリューヌに対しても外交の材料として技術を供与している。だから連合が技術を入手する前に決着をつけてしまおうと言うのが、本作戦の趣旨である。リシャールの艦隊が今回の作戦に組み込まれたのも、G砲の実戦投入を行った張本人だから無視できなかったと言う所だろう。

 次の戦争ではこのG砲の存在が戦術上の前提条件となるであろう。今後は待ち受ける側がより一層優位に立つ、力の均衡が強固に作用する時代がやってくる。それがリシャールの狙いでもあった。


 第七艦隊はテトラフォートレスへの入城を果たす。

「要塞司令代理のボイド大佐であります」

 アンニバルが同行してきた敵の指揮官はそう名乗った。

「代理?」

「司令官殿は駐留艦隊と共に本星に向かわれました。本営の艦隊引き揚げの方針について異議を唱えると言っていましたが」

 全体の戦局を見れば艦隊を本星の防衛に回すのは間違いとは言えない。そもそもローンスターとの戦闘で大敗したことがこの事態を招いたのであるが。

「気の毒にな」

 とリシャールが呟く。

「中央の失態の責任を現場が取らされるのは実に理不尽だ」

 先の反帝国連合軍からの大攻勢は強硬派元首の描いた壮大な野望であった。しかしながら実行するのは他人である。リシャールも何度も上の敗戦処理を押し付けられて、結果を出し続けてきた。

「君たちの身柄はこの辺境伯リシャールがすべて引き受ける」

 以後要塞の全兵士は捕虜ではなく辺境伯の庇護民として扱われる。

「ジル中佐の青龍はここに残って事後処理を頼む」

「了解しました」

 二隻の強襲揚陸艦から陸戦隊を一個小隊ずつ残して中佐の手助けをさせる。その代わりに要塞所属の陸戦隊で穴埋めする。

「要塞には各ブロックごとに一個小隊が配置されていました。その半分は我々との戦闘で損耗していますが、二個小隊が健在です」

 とアンニバルが報告する。

「この要塞は要塞砲と駐留艦隊の連携で守られていたから、陸戦隊の戦力はそれほどでもなかったのだな」

 こちらの揚陸を許した時点で詰んでいた訳だ。

「さてこの後の行動だが」

 このまま撤収しても文句は出ないところではあるが、

「当然進軍だな」

 ダミアンが口火を切った。

「このまま兵を引いて、本隊が負けるようなことに成ったら寝覚めが悪いですね」

 とアンニバル。

「空戦隊は今のところ出番がないので」

 とバロン・マンフレッド。

「この一戦が決着すれば、しばらくは対外戦争は無くなるだろう。兵士たちは武勲を上げたくてうずうずしているだろうなあ」

 アイザックは客観的な視点を述べる。

「では進むとしよう」

「さて航路はどうする?」

 とダミアン航海長。

「先行する友軍に合流するか、それとも敵本星にまっすぐ進むか」

 問題は友軍がどこまで進んでいるかだ。要塞を迂回して進む第三・第五艦は要塞を襲った第七艦隊よりは航行距離が長いのだが、

「友軍は敵本星まで四日。但し敵も手前の要塞を利用しながら迎撃に出てくるだろうから接敵までは三日」

 とダミアンが分析を始める。

「味方に合流するなら開戦には十分間に合うが、両軍を迂回して敵本星を突くのも十分に可能だ」

「敵の残存兵力は?」

「ローンスター方面に二個艦隊、本星に二個艦隊だな」

 連合は元々は五個艦隊を有していたが、ローンスターとの戦闘でユニットを失って維持できる艦隊数が減っている。

「残りの方面は通常艦だけで対抗するか」

 因縁の深い帝国とローンスターにだけは屈したくないと言う意思が見て取れる。

「ローンスターに対してうちと同戦力なのは、G砲の長距離射撃を警戒しているからだろうな」

 とアイザック。

「本星直撃ルートを構築してくれ」

 と結論を下すリシャール。

「既に作成済みだよ」


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