007
一般的に子供は、寒さに強いと言われていた。
それは、子供の方が体温は高いことが理由だ。
だけど、二月の真冬の寒さは子供といえども寒く感じた。
おまけに大人の時に着ていた俺の服が、大きくて着ることが出来ない。
着ることはできないけど、全身を制服に巻き付けていた。
「寒い」
冷たい空気が流れて、車内の空気をドンドン冷やしていく。
おまけに裸なので寒さを、文字通り肌で感じてしまう。
凍えるような寒さで、鳥肌が立っていた。
「やはり、ここから出るか?」
寒い空気が流れてきて、再び脱出を試みようとした。
しかし、窓の近くに立って見えたのはコンクリートの地面だ。
「無理無理無理っ!」勇気が出ない。
高所恐怖症で、子供だとこの高さは致命的だ。
どうしても、この窓から出ることは出来ない。
大人の車掌の制服で、寒さを紛らわしていた。
(このままでは、マズいな)
ここは、人気の無い車庫の中だ。
寒さは、ドンドン厳しくなっていく。
でも、バスを出る唯一の窓は高くて飛び降りられない。
飛び降りれば、なんとてことはないのかもしれない。
だけど、俺は恐怖を克服できないでいた。
(小さくなければ、小さくなければ……)
あの高さが、脳裏から離れられない。
それでも、最後部の座席に座って体をブルブルさせていた。
最後部の長椅子で震えていると、空間に突然不思議な切れ目が見えた。
その切れ目が大きく開くと、中から一人の人間が出てきた。
出てきた人物を見て、俺は声を上げた。
「あの女は……セーラー服の」
カーキ色のセーラー服を着ていた女が、無表情で俺の目の前に再び現れた。