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最高の人材を求めて  作者: 葉月 優奈
三話:迷惑老人・『|柴島《くにじま》 栄五郎』
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公園の入口が、一つだけあった。

箕面第四公園には、入口は一つしか無い。

その奥には、わしが住んでいた家が見えた。

だけど、見えない透明な壁にわしらは阻まれていた。


入口には、誰もいない。

抜けた住宅街の先にも、人の気配はない。

灰色の世界、わしと興六郎以外色のない世界。


「兄さん、いいの?」

「いろいろ思い出せた。わしがこの公園での思い出。

興六郎もいたから、わしは自分の古い記憶を呼び覚ますことが出来た。

むしろ、感謝している」

「いいや、僕も感謝している。

兄さんと久しぶりに、楽しく遊んだ気がしたから」

年老いて、一緒に遊ぶことはなくなった。

子供ではないし、大人でもない。

たまに一緒になっても、食事に行くぐらいだ。


そんな中で、興六郎と過ごした灰色の世界は貴重でもあった。

わしは、それは間違いないと思っていた。


「興六郎も、箕面に住まないのか?」

「仕事があるから、大阪市内から転居できないかな。

でも兄さんがいるから、僕は大阪に来たんだ」

「この場所が、どうしても忘れられなかったんだな」

淀川に助けられた、この公園。

初めて、人の優しさを両親以外から知った場所。

そんな場所を知って、わしは感謝しないといけない。


(この場所は、やはり残さないといけない)

わしはそう決心し、ゆっくりと公園の入口の鉄の柵を抜けた。


抜けた瞬間、わしの体が変化していく。

体が大きくなって、大人になって、そして小さく腰が曲がって老人になった。

弟の興六郎もまた、同じような変化で……スーツ姿の老人に変わった。


そして見えたのは、色のある世界だ。

モノクロの世界から、わしと興六郎は無事に出ることが出来た。


「帰って……きたか」

「ええ、何か長い夢を見ていたかのようなそんな気分だよ」

「全くだ」

わしは、色のついた町並みを見ていた。

町並みには、人が歩いているのが見えた。


そして目に飛び込んできたのは、わしの家だ。

公園の入口前で、黒い車も止まっていた。


「会長、ご無事でしたか?」

そこには車の運転手と思えた一人の男性が、近づいてきた。



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